訓練記録040501:記録者名:近衛葵
この記録を閲覧したものは今後石原博士の動向に注意されたし、私はこの時ほど石原博士の私的友好関係を恨んだ事は無い。
そう...事の始まりは詩織の研究室から始まった.........。
<岩戸要塞内石原博士研究室(通称紅の魔女の館)>
カタカタカタカタカタ..........カタ
「先輩!システムアップ完了です!」
美華ががばっという擬音が聞こえそうな勢いで振り向き詩織に報告をした。
「クスッ........これで”あれ”が実施できますわね♪」
「はい♪もちろんです♪」
「では早速艦長に報告してきましょう♪」
ひとしきり二人でくすくす笑いあうと詩織はスキップでもしそうな勢いで部屋を出て行った。
少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
外伝壱話”合体”
<数日後:大和格納庫>
ここには珍しく詩織・美華の師弟コンビと大和艦長であるZEEK中佐が来ていた。
「新型機のテスト・・・・・・ですか?艦長」
「そうだ.....詳しい話しは石原君から聞いてくれ。」
唐突にzeekが言い出したのは新型機のテストであったが...それまでにそのような予定を聞いてなかった葵はZeekに聞き返した。
「し・・・詩織?」
「葵?......何か嫌そうですわね?」
「い・・いやぁ〜〜ねぇ〜〜そんなこと無いわよ〜〜。」
「ねぇ...隊長........近衛総隊長の目....泳いでません?(ボソボソ)」
「美都里・・・あんたもそう思う?(ボソボソ)」
ぼそぼそと会話する飛鈴と美都里であったが葵に睨まれあわてて視線をはずした。
「ところで石原博士.....私がここに呼ばれた理由はなんでしょうか?」
と...挙手質問したのはラグナロクブリッジオペレータのトリノ中尉であったが
「適正ですわ.....それに皮肉屋さんが必要ですもの」と....意味不明なお言葉をいただき沈黙する。
「コホン.....ともかくこれが私の開発した新鋭機R1、R2、R3、R4ですわ!!」
詩織がライトをONするとそこには4機の機動兵器が並んでいた。しかしR1以外は旧式の宇宙戦闘機にしか見えない。
「し・・・詩織?正気?」「なにがですの?(ニコッ)」
余りに眩しい微笑みに葵は肩をがっくり落としながら、
「R1以外は手足が無いみたいだけど.......。」
「足なんて飾りに過ぎません!偉い人にはそれがわからないんです!」
「美華ちゃん..私はあなたが何を言ってるのか解らないわ」
葵はほとほと疲れた表情でつぶやいた........。
「訓練前から.....疲れたわ.............。」
タイミングを計ったようにZEEKが登場割を行った。
「では搭乗員割を行う、近衛君は人型のR1に騎乗、紗君は単胴型のR2に騎乗、辰川君は双胴型のR3に騎乗、志賀君とトリノ君は大型のR4に騎乗、訓練とはいえ気をつけてくれたまえ。」
「あの〜〜〜」
「何だねトリノ君?」「私・・・オペレーターなんですけど。」
ぼやくトリノを制したのはやはり詩織であった。
「問題ありませんわ、R4は情報収集能力もあるので貴女はそのオペレータですわ」
「そ・・・そうなんですか?」「そうですわ♪」
「では全員騎乗!」
「「「「「了解!」」」」」
ZEEKの号令一下全員が直立不動で敬礼をするとそのまま割り当て機に乗り込んだ。
<大和艦橋>
「これより新型機の稼動テストを開始します、茉莉慧ちゃん・・・記録のほう・・よろしくお願いしますわ♪」
「了解しました・・・稼動記録の保存とリアルタイム解析を実行します・・・ミコちゃん・・お願いね?」
≪まかせてよ♪茉莉慧お姉ちゃん♪≫
詩織のテスト開始の号令の下艦橋がにわかに忙しくなる・・・といってもほとんどミコ任せのためどちらかというと観戦といった趣があったが・・・。
「まずは機動性を確認する、探査プローブとペイント弾を装備した標的機をそれぞれ30機射出せよ!」
「艦長?それは多すぎませんか?」「問題ありませんわ♪新型機の機動性は通常の3倍ですわ♪」「でも赤く塗ってませ〜ん♪」「そ・・・そうなのですか」
通常の10倍射出を命令するZEEKに対し美瑠は反対するが詩織と美華のテンションに押されてしまってどもるしかなかった。
<R1コクピット>
「ブルーリーダーより各機へ、プローブと標的が来たわ、この機体は何しおう”あの”詩織の作品よ・・・なにがあるかわからないから十分注意して!」
『『『了解!!』』』
(でも・・・なんなの?この機体は・・初めての機体なのにイメージ通りに軌道をトレースするなんて・・。)
機体そのものは確かに高性能であった・・・がそれだけでは説明のつかない何かがあった。
<大和艦橋>
艦橋では詩織が笑顔で青筋を立てていた。(葵・・・・・後で覚えて置いてくださいましね)
「・・・・・・・・各機、反応は予定値通り・・・・ですが・・・・・・・本当なのですか??この値は?本当に3倍ですよ??」
楠果がレーダーより入力されてくるデータに驚き聞き返した。
「当たり前ですわ♪茉莉慧ちゃん・・・機体の稼動データは採れまして?」
「はい、粗方必要なデータの取得は終了しています・・・後は連続稼動データくらいですが・・・。」
茉莉慧の返事に頷くと詩織はZEEKに向かって振り向きこうのたまわった。
「艦長!ファイ○ル・フュー○ョンの承認を要請しますわ!」
「よし!桜小路君!ファイ○ル・フュー○ョン!承認!!」
「え?っえ??」「だから・・・・承認なのだよ!!」
突然の詩織とZEEKの暴走に茉莉慧はついてゆけずただおろおろするばかりであった(^^;;
「茉莉慧さん♪こうやるんですよ♪・・・・・了解!ファイ○ル・フュー○ョン・・プログラム・・・ドラ〜〜〜〜イブ!!!」(バキィ!!)
反応できない茉莉慧に美華は横からコンソールでコマンドを入力し・・・いつの間にか設置されていたボタンをケースごと叩き割って押した。
<R1コクピット>
「え?コントロールが効かない!!!(詩織のやつ何かしたわね!!!)・・・クッ!!各機状況報告!!」
『R2制御不能!!!』『R3も同じです!!』『R4制御不能・・・・え?トリノさんなんですか?』『近衛隊長、全機に宛て大和からプログラムが送信されそれにより全機に特殊なプログラムが稼動を解した模様です。』
「特殊プログラム??」『はい・・・・プログラムの解析内容によると・・・合体です・・・・石原博士の冗談でしょうか?』
「し・・・・詩織なら・・・やりかねないわ」
5人の乗る機体はR1を中心に球状の軌道をえがくように集まり・・・そして合体した!
<大和艦橋>
「ファイ○ル・フュー○ョン成功!!!」
美華の報告に艦橋がどよめく。
「やったな!石原君!!」「ええ!艦長!!」「でも・・・・これって役に立つんですか?」
暇だった恋の呟きは艦橋に冷たい風を吹き込んだ・・・そして・・・・・・
『ZEEKさん、石原さん・・・これはいったい何の騒ぎですか??』
「「き・・・霧島閣下」」
突然メインモニターを占有したのは笑顔に青筋を浮かべた奈々の姿であった。
『二人とも・・・・説明をいただけないんですか??』
「ふふふふふふ・・・・・必要なデータは採取できましたわ!だから証拠隠滅ですわ!!!」
突然詩織は笑い出すと・・・ポケットから自爆スイッチを押そうとするが・・・・。
「石原君!!やめたまえ!!!葵君達を殺す気か!!!」
「離してくださいまし!!艦長!!!自爆は科学者のロマンなのですわ!!!」
「だからといって巻き込んで良い訳はあるまい!!!」
「止めないでくださいまし!!」「あ・・・・・・・・」
「どうした??」「押してしまいましたわ♪」
『詩織の馬鹿〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』(どか〜〜〜〜ん)
・・・・・・・・・結局コクピットブロックの設計が頑強で脱出ポットの役割を果たしていたため事なきをえたが一歩間違えば命を失うところであった。
以上で報告を終わるが・・・・艦隊司令部に対しては改善を要求したい・・・いえ本気で・・・・。
艦載機隊司令 近衛葵少佐
艦隊指令のコメント
近衛さん・・・・私でもどうする事もできません・・・ごめんなさい。それとZEEKさん、石原さん・・・減棒3ヶ月です。
岩戸要塞司令 霧島奈々
続く? |