無限に広がる大宇宙、静寂な光に満ちた世界、死んでゆく星もあれば生まれてくる星もある、そうだ、宇宙は生きているのだ、我々の住む大銀河系もまた生命に満ち溢れている。

その宇宙の片隅で2つの勢力がぶつかり合っていた。
かたや東洋の国々が主体であった汎亜細亜連合
かたや欧州の国々が主体となった神聖銀河帝国

その最前線たるタカマガハラ星系にあるアステロイドベルト.....
監視基地”イカロス”....その宇宙港に小規模な艦隊が入港しようとしていた。
「まもなくイカロス宇宙港に入港します。宇宙港まであと3宇宙キロ」
入港まもなくの艦隊旗艦の艦橋.....もちろん入港準備であわただしい。
艦長はイカロス宇宙港近くにある戦闘艦の残骸向かい敬礼をしている。
「長かったですね.....。」
艦長の後ろから若い女性の声がする。
「はい.....いよいよですね.....お嬢様」
「お嬢様はよしてください.....それに私はあの時....なにも出来なかったのです。.....でも.....後少しでその汚名も返上で来ましょう。あと少しで.............。」















少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第一話”着任”



イカロス宇宙港で桜小路茉莉慧は一人ごちていた。
「ここが私の赴任地....イカロスか......。」
イカロスは回廊からも離れ最前線といえど比較的平和な基地であり汎亜細亜連合のなかで一番新しい基地であった。
「イカロスへようこそ♪」
不意に後ろから声がする。
「いいえ、お久しぶり!葵姉さん....それに詩織さん!」
振り返ると4つ上の従姉妹とその親友がそこには立っていた。
「茉莉慧ちゃん、元気だったぁ〜??」
妙に間延びした幼馴染も嬉しそうに話し掛けてくる。
「また三人でいられるんですね♪」
「茉莉慧....あなたの配属先はどこなの??」
「えっと........イカロス基地司令ZEEK少佐の副官...って事になってます。」
がさごそと手荷物から辞令を取出し確認しながら言う。
「司令の??......又厄介な所に配属になったわねぇ...」
葵が眉をひそめながら茉莉慧に忠告をした。
「厄介なの??葵姉さん」
「そうよ......有能だけど”変人”よ??...あの人は」
「へ....変人??」
「そう...変人...まぁせいぜい注意するのね..ふふふっ」
悪戯っぽく笑う葵の表情を見て...茉莉慧は理解した...からかわれたのだ。
「もぉ〜葵姉さん!」「冗談よっでも気難しい人だからヘマしないようにね♪」
詩織はそんな二人のやり取りをニコニコしながら見ていたが..不意に時計を見て告げた。
「あのぉ〜茉莉慧ちゃん?そろそろ行かないと遅刻なんじゃ〜..。」
「「え???」」
茉莉慧は時計を見た.....出頭時間の5分前になっていた。
「や....やっばぁ〜〜〜葵姉さん詩織さん...後でね!!!」
茉莉慧は脱兎の如く走りながら二人に言い去った。
「間に合うのかしら??」「さぁ〜どうなんでしょうねぇ〜」
二人は呆然と茉莉慧を見送った。

5分後........何とか司令部に出頭し司令官室を急ぐ茉莉慧の姿があった。
「やっばいなぁ...本当に遅刻だよ。」
時計を見ながら廊下を走る茉莉慧.....不意に廊下の角で誰かにぶつかった。
「「きゃっ!!」」
出会い頭の衝突という奴である。...相手が持っていたものであろう書類が廊下にぶちまけられる。
「いたたたた....だ..大丈夫です.....か!!!!!!!!」
痛む頭をさすりながらぶつかった相手を見て茉莉慧は言葉を失った。
ぶつかった相手はまだ若い女性であった....しかもすごい美人....そしてその肩には少将の階級章が輝いていた。
「し..し...し失礼しました!!!」
思いっきりしゃちほこばる茉莉慧が可笑しかったのかその女性は笑いながら答えた。
「クスッ...私は大丈夫だから散らばった書類を集めるの手伝ってくれないかしら?」
「は...はい!!」跳ね上がるように飛び起きた茉莉慧は急いで書類をかき集めると女性に手渡した。
「ど..どうも申し訳ありませんでした!!」
「以後...気をつけてね.....それと廊下は走らないようにね?」
「はい!..失礼します!!!」
そう言いつつ茉莉慧は又脱兎の如く去っていった。
「又後でね...桜小路少尉♪」
女性は呟くように茉莉慧を見送ると楽しそうに目的の部屋に向かった。



<基地司令執務室>
と描かれたプレートが張られたドアの前に茉莉慧は立っていた。
「よしっ!」
気合を入れると茉莉慧はドアをノックした...中から返事が聞こえる。
「桜小路少尉、入ります。」
プシューっという音と共にドアが開く
「着任早々から10分遅れとは良い度胸だね???桜小路君??」
基地司令のzeek少佐は執務机の上で手を組む形で茉莉慧を迎えた。
(あちゃ〜〜気難しいって本当なのね....。)
「も・・申し訳ありません。」
「うむ...以後気をつけるように。」
「はい!..それと申告します。飛鳥皇国宇宙軍少尉桜小路茉莉慧。
本日付をもってイカロス監視基地司令副官に拝命いたしました。」
そう言うと茉莉慧は司令に敬礼をした。
ZEEK少佐もそれに返礼する。
「受理する。飛鳥皇国宇宙軍少佐ZEEKである。貴官の今後の努力に期待する。」
遠巻きにドジッて言われたような気がするなぁ...少佐の話は続く。
「君の任務は私の副官任務であるがデータ処理が主な内容となる。内容は書類に
まとめておいた。明日までに目を通しておいてくれ。」
「はい!」
「今日はこれまで良い....明日からよろしく頼む。..それから....感動の再会も良いが...
程ほどにしてくれ..任務に支障をきたすからな。」
後半は悪戯っぽく茉莉慧は諭されてしまった。
「もしかして知ってらしたんですか???」
「まぁ....な....行って良し!」
「では失礼します。」
こうして茉莉慧はイカロスに着任した。これからの運命を知らぬまま......。


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あとがき
ZEEK:やっと1話だね〜構想が長かった割に不出来かも(苦笑)
茉莉慧:第一話からそんな事言ってどうするんですか(^^;
ZEEK:これから戦闘描写とかもあるしねぇ
茉莉慧:だったらやらなきゃいいのに....。
ZEEK:なにか言ったかい?茉莉慧君???
茉莉慧:いえ?..なにも??
ZEEK:しかしオリジナルSSってのも面白い題材だと思ってね(^^
茉莉慧:ナチス親衛隊ですか??
ZEEK:ちが〜〜う!!
茉莉慧:ショートストーリーの略ですよね♪でも少佐にはナチス親衛隊のほ
     うが似合ってる...かも(笑)
ZEEK:......やっぱりいじめる(怒)
茉莉慧:そ..そんなぁ(^^;;;
ZEEK:次回もやぁぁぁぁぁぁぁってやるぜ!
茉莉慧:なぜに断空我(^^;;



続く?