<大和艦内食堂>
「茉莉慧も食事?......ってどうしてここに居るんですか?上条閣下」
葵は従妹を認め近づいた所見知った将官が従妹にくっついているのを見冷たい視線を送っていた。
「あら?近衛さん♪お久しぶりね?元気だった?」
上条少将はやはりハイテンションである。
「あのぉ〜〜閣下??」茉莉慧はおそるおそるといった風で瑠璃に聞いた
「なにかな?」くっついたまま聞き返す「なぜ..付いて来るんですか??」
「君のこと...気に入ったからかな??」屈託のない笑顔で答える。
「離れてくれません?」葵が明らかに不機嫌な声で瑠璃をにらんだ。
「近衛さん...こわい」「あれぇ??皆さんどうしたんですか??」
氷点下の雰囲気を粉砕したのは詩織の素っ頓狂な声だった。
「石原博士...半陽子炉の様子はどうですか??」
先ほどの雰囲気はどこへやら上条少将は軍人の目に戻っていた。
「数千年ほったらかしてあったとは思えないほど完璧ですわ。」
「後は慣熟訓練だけですね。」「ええ....」


















少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第五話”訓練”


<大和艦橋>
「告げる、こちら艦長、これより本艦は訓練を開始する。目標は上条艦隊とアステロイドベルトの岩塊群!これは諸君らに一日も早く本艦に慣れてもらうことにある。従って訓練は実戦同様に行う、気を引き締めていけ!以上だ!」
こうしてzeekの訓辞の後戦闘訓練が開始された。
「レーダに反応敵流星群、距離23宇宙キロ」
レーダーオペレーターの北林楠香少尉の報告が告げられた。
「主砲発射準備!」「主砲発射準備!」zeekの命令に主砲制御オペレーターの結城美瑠中尉が間髪入れず復唱する。
「方位マイナス2!上下プラス4度」計測値を元に結城中尉が指示を出す。しかし二番砲塔の動きが怪しい。
「どうしたの?二番砲塔!上下プラス四度よ?」
即座に二番砲塔が修正に入る。そして射撃制御盤が数値が全ての準備が整ったのを告げた。
「発射!」艦首一番、二番砲塔から主砲エネルギーが放たれた。
しかし、命中しない、zeekに失望の色が浮かんだ。
「やはり制御盤にまだずれが有るな。石原君、調整を頼む。」
通信モニターの一つに詩織が表示される
「了解しましたわ〜。あと2,3斉射して下さいな...あたりをつけますから」
「頼む、.....結城君、そういうわけだ、派手にやってくれ。」
「了解しました♪派手にやっていいんですね???」
目を爛々と輝かせ結城中尉が射撃命令を始めた。
「桜小路君....調子はどうかね??」
zeekは振り返ると茉莉慧に問いかけた。
「大丈夫です、ミコちゃんが素直なので操艦システム、射撃システム共に良好です。」
「それにしては精度が甘い、これでは実戦で役にたたんからな...精度の向上を訓練してやってくれ。」「了解です」
「近衛君、麗風の調子はどうだ?」
「はい、新型モビルトルーパー(MT)は反応、機動性、攻撃力全てがすばらしいです。」
「では訓練弾装備後上条艦隊撃滅にかかれ!全艦撃沈してこい!」
「お任せ下さい!ブルーサンダース(蒼き雷)隊発進!」
「ブルーワンから各機順次カタパルト射出開始。全機射出完了まで13分です」
モビルトルーパー、それは空間制圧用に開発された人型機動兵器である。
追加オプション次第でどこでも運用が可能な万能機である。
全機発艦を終えた艦載機部隊は上条艦隊に襲いかかった..が心なしか力が入ってるように見える。
「近衛君張り切ってるなぁ(^^;;」
zeekがたじろぐほどの鬼気迫る攻撃だった。
そうこうしているうちに主砲弾が目標に命中を始めた。誤差修正が合い始めたのだ。
「艦長!演習宙域に未確認艦隊が進入してきます!」
訓練も終了しようとしていた時、北林少尉から緊急報告が入った。
「北林君、所属は解るか??」「少々お待ち下さい。」
北林少尉が確認をとっている時間を利用してzeekは奈々への連絡を取った。
「閣下!未確認艦隊が接近中とのことです、いかが致します?」
「zeekさん、あれの発射テストはまだですね?」
「はい、.....では敵艦隊に向けて??」
「ええ....敵だった場合はテストを兼ねて発射してみて下さい。」
そこで北林少尉からの報告が入る
「艦長、どうやら敵艦隊のようです、距離4万2千宇宙キロを密集隊形で接近中です。」
奈々との通信後暫く考えていたzeekだったが不意に茉莉慧に振り返ると命令を次々に発し始めた。
「これより本艦は艦首過粒子砲の発射テストに入る。各セクションへの連絡急げ!桜小路君!」
「はい!」「過粒子砲は君の制御下だ、だがこの武器は心して使うんだ!...いいな??」
茉莉慧は命令の内容がよくわからなく目をぱちくりさせた。
「それは..どういうことでしょうか??」
「発射してみれば解る。ともかく今は発射準備を急げ!」「了解です」

艦首過粒子砲それは、宇宙空間に漂う荷電粒子を大和に2基装備された半陽子炉のエネルギーで一気に加速し艦首方向に一気に放出する大和最大の武器である。

「石原博士、発射に問題はあるか?」
「大丈夫ですわ、ですが艦長これだけは知って置いて下さいな、過粒子砲は試射も行っていないのでデータ通りの破壊力があるか解らないのと、連続発射が現地点ではできませんわ。」

「了解した。」「艦長!エネルギー充填120%..発射可能です。」
詩織からの説明が終わった頃、茉莉慧からの報告がまたはいる。

「光学障壁開始!、照準と発射トリガーは結城君、君に任せる。」
「了解しました!発射10秒前9,8,7,6,5,4,3,2,1,0いっけぇぇぇぇぇぇぇぇ」
美瑠の叫びと共に艦首から加速された荷電粒子の束が解放された。
それは一条の光の筋としてアステロイドベルト群をすんでゆき、そして接近していた帝国艦隊は”消滅”した。
「こんな....こんなことって....。」
艦橋にいた全員がその強大な破壊力に絶句した。
「お姉ちゃん?どうしたの?弱い敵が死んだだけじゃない???」
ミコの発言に茉莉慧は愕然とした。
「ミコちゃん...でもこれじゃあ戦闘じゃないわ虐殺よ?」
「虐殺?それって悪いことなの??」
(霧島司令がいったのはこの事なのね...)
「ミコちゃん、人の命を奪うことはとってもいけないことなの。私達はこれからもいっぱい人を殺すことになるわ。でもそれはいけないことなの。」
「お姉ちゃんの言ってることよくわかんないよ....。」
茉莉慧はどうして奈々がこの子(ミコ)を自分に任せた理由が解った気がした。
前途はあまりに多難であった。


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あとがき
ZEEK:5話です♪
茉莉慧 :戦闘らしい戦闘してませんね。
ZEEK:艦隊線は難しいからね。
葵   :なんか私すごく嫌な女の子に見えるんですけど。
ZEEK:(元からそんなだろ?)
葵   :少佐.......(しゅん)
ZEEK:あ....そのうちいところもだすから(^^;;;;;
詩織  :でも私いつから博士になったんです??
ZEEK:い...医者だし(^^;;;博士号もいくつか持ってもね...
茉莉慧 :次回もやってやるぜ!ですね!
ZEEK:俺の台詞....(TT



続く?