<上条艦隊旗艦”月光”>
大和の加粒子砲の威力に月光の艦橋もやはり驚愕していた。
大和の訓練を外から見るために上条艦隊にきていた奈々が口を開いた。
「瑠璃さん...どう見ます?」
「危険な力だね....一歩間違ったら前世紀の核みたいな事にならなければいいけど」
「そうですね....。」
「でも...」「でも??」
「大和.....良い動きをするね、うちの艦隊と第2水雷戦隊を相手にしながら隕石群に主砲を撃ち続けたんだもん。なんか自信なくなっちゃうよ。」
「Zeekさん、さすがに聯合屈指の艦隊運用家だけのことは有りますね。」
「3年前の失敗さえなければ、今頃は....」と言いかけて瑠璃はハッとして奈々を見た。
「ケリは.....つけなくてはなりません。」奈々は暗い表情で一人つぶやいた。
少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第六話”岩戸要塞”
岩戸要塞、7つのアステロイドベルト回廊中最大の回廊”ヨミ回廊”に存在する
小惑星クラスの要塞、旧文明の遺物だったものを改修2つの宇宙港と3つの工廠を有する聯合最大の要塞である。
<岩戸要塞司令室>
「第3,第7両艦隊が入港します。」
「艦隊係留開始、司令部の要塞到着を確認」
オペレーター達の声が飛び交うなか大スクリーンに映し出された大和を要塞司令三条君麻呂中将は冷ややかな視線を送っていた。
「乙女の艦隊の入港ですな。」
ふいに後ろから声がする、三条中将は面白くなさそうに振り向き答える
「全く最近の人事はどうかしておる、あんな小娘どもに艦隊を与えるなど.。」
三条中将の言葉に男ウォン・ダイ少将(駐留艦隊司令官)は肩をすくめる。
「仕方有りませんな、特に第7艦隊の霧島少将あたりは故霧島元帥の娘、そこそこ切れるらしいですが。」
「所詮、小娘の遊びだよ、ウォン君。私としてはどこかえ消えてくれるのが最良なのだが。」
「新鋭艦で防御を固めた発掘品.....果たして戦力になりますかな??。」
「3年前と....あれの失敗で霧島君に軍から消えてもらえると..私は楽なのだがな。」
<大和艦橋>
「艦長、岩戸要塞への入港終了を確認しました。」
操舵手の甘木恋中尉が接舷の報告が飛んだ。
「告げる、こちら艦長。本艦は只今岩戸要塞に到着した。大和発進より2週間諸君らの努力には感謝している。よって岩戸要塞では1週間の休暇を与える。戦闘能力維持の最低限の要員を除いて羽を伸ばしてくれ、だがくれぐれも羽目を外すことのないよう心がけるように、以上!」
艦の各地で歓声が上がる。やはり休暇はうれしい物である。
艦内放送を終えたzeekが不意に艦橋の人間に声をかけた。
「そうだ....艦橋要員で懇親会を開く予定だ、都合のつくものは今夕1730時要塞内中華店”小龍”に来い。」
「もしかして..艦長のおごりですか??」
「小龍って中華でしたよね♪」
「美味しいものいっぱいでますか??」
「や〜んなにたべようかしら」
ちなみに上から結城中尉、茉莉慧、北林少尉、甘木中尉である。
「肯定だ...と言いたいところだが、霧島司令も参加される...もちろん司令のご指示だ。」
「っていう事は、司令のおごり??..期待できそうですね♪」
「楠香....涎が(^^;;;」「そういう恋だって(笑)」
「あ〜....諸君澄まないが入港処理が完全に済んでからにしてくれ。」
zeekのつっこみが即座に入る。
「「「も...もしわけありません」」」
「私は司令室に行って来る...結城君..後を頼む。」
「了解しました。」
<霧島少将執務室>
「失礼します。」
艦内の入港の騒ぎが嘘のように静かな、司令室で奈々は紅茶を飲みながら書類を読んでいた。
「待っていましたよzeekさん」
「そろそろ艦隊司令部として要塞司令部に挨拶に行く時間です。」
「司令部と言っても私とzeekさんと...近衛さんしかいませんよ?」
「それででも司令部は司令部ですから。」
言葉に詰まるzeekに奈々は悪戯っぽく微笑むとでは行きましょうか、と廊下へ出ていった。
「お...お嬢様!又私をからかいましたね!!!」
「zeekさん、いいかげん..そのお嬢様って言うのやめて下さい...恥ずかしいです。」
奈々が顔を真っ赤にして抗議するがzeekは素知らぬ顔で
「お嬢様はお嬢様ですよ。」と答えるどうやら奈々の悪戯は反撃されて終わったようだ。
<岩戸要塞司令官室>
「第3艦隊司令官 上条少将着任の挨拶にまいりました。」
「第七艦隊司令官 霧島少将着任の挨拶にまいりました。」
「要塞司令官 三条中将である、諸君らの任務は当面無い、充分英気を養うように。」
宇宙軍でも屈指の美人司令官2名の挨拶を受けた三条中将であったが面白くなさそうに答えた。
「「了解しました」」
「本来は婦女子は後方で支援任務についておればよいのであるが、上からの命令では仕方ない。我々のじゃまだけはくれぐれもしないように!」
「な.......」「努力いたしますわ、三条閣下」
反論しようとした瑠璃を制し奈々は平然とした顔で三条に返していた。
「ふん....まあいい、配置等は追って連絡する。今日はもう下がってよし。」
「「はい、失礼します」」
<同廊下>
「全く失礼しちゃうわ」
「瑠璃さん...三条さんは若い女性が艦隊司令官でここに来るのが気に入らないのですよ。」
「そんなのナンセンスだわ!時代錯誤も甚だしい!」
三条司令の嫌みに瑠璃は頭にきていた。
「上条閣下、まぁ言いたい奴に言わせておけば良いんですよ。」
「はれ?ZEEKさん...??」
「これから食事会なのですが閣下もおみえになりますか??」
「そうそう!いやなことは美味しい物食べて忘れちゃえばいいのよ♪」
zeekと奈々の説得(懐柔?)に瑠璃の機嫌も徐々に良くなってきた。
「そう..だよね??よ〜し食べるぞ!」
少し先を進んでいた瑠璃は晴れ晴れとした笑顔で二人に振り返った。
「二人とも!いこ?」
<岩戸要塞内都市”ヤタ”>
「へ〜はじめてきたけどここが要塞の中なんて信じれないね〜」
「茉莉慧は初めてだったっけ??ここは人工重力も効いてるし普通の都市と変わらないわ。」
「それに〜とっても広いんですよねぇ〜」
上から茉莉慧、葵、詩織である。
茉莉慧は初めての宇宙要塞が珍しいらしくきょろきょろ見て感心している。
その少し後ろを葵と詩織が並んで歩いている。
(これだと普通の町とかわんないなぁ、あ!あの服かわいいなぁ...でも着る機会ないかも...)
などと考えながら歩いていたところ、ドスンと言う鈍い音と同時に衝撃が茉莉慧におそってきた。
「うぃ〜っくっだ!てめぇ!なにしやがる!」
どうやら酔っぱらいに出会い頭にぶつかってしまったようだ。
「あ...あの...ごめんなさい!」「んだと!ごめんですむか!」
酔っぱらいが殴りかかってくる。葵もあまりに突然だっために間に合いそうもない。
(殴られる)ぎゅっと目を閉じて衝撃に耐えるるつもりだった茉莉慧はいつまでたっても衝撃が来ないのに気が付いておそるおそる目を開けた...すると....。
「おい!貴様!婦女子に手を出すとは男の風上にもおけんな。」
殴りかかろうとする腕を青年士官が掴んでいた。
「なんだとぉ」「ふむ.....口で言ってもわからんようだな。」
青年士官は流れる動作でアッパーを酔っぱらいに食らわせた。無論酔っぱらいがそれを避けれるはずもなくガードレールにぶち当たった。
「少しはよいが冷めたかな??....ん?延びてしまったか。」
肩をすくめる動作をした青年士官は振り返ると茉莉慧に向き直った。
「お.....お嬢さん、お.....お怪我はありませんでしたか??」
「あ..あの..はい!ありがとうございました。」
「い....いやいや....男として当然のことをしたまでですよ。」
(か....可憐だ....こんな可憐な女性が世にいたとは)
先ほどまでのいい男ぶりは何処へやら茉莉慧を見た青年士官はガチガチにあがってしまった。
「あら?ヘーハチじゃない!なに柄にもなく赤くなってるのよ」
突然の連続で硬直していた葵であったが相手のあがった青年士官をみて声をかけた。
「お??近衛??近衛じゃないか!久しぶりだな!」
「ヘーハチもね!」
「葵姉さん..この方を知ってるの??」
「知ってるもなにも士官学校の同期生だもの...にしてもヘーハチがこんなあわてたの初めて見たわ」
茉莉慧の問いに葵がおかしくてたまらないと言った風に返事をした。
「あの、私、桜小路 茉莉慧と言います、助けていただいて本当に有り難うございました。」
「ま..まりえさんですか...す..素敵なお名前ですね」
「え??..いえ...そんな。」
今度は茉莉慧が真っ赤になった。
「はいはい...それくらいになさい、ヘーハチ今日はこの後用事があるから。...いくわよ?茉莉慧」
「は..はい....それでは東郷さんまたです。」
「あ...はい!!」
「ところで詩織...なにやってるの??」
酔っぱらいに何かしている詩織を見とがめた葵が聞いた。
「ああ....これは、アルコールに〜拒絶反応が〜出るような体質になる薬を〜....。」
「試したと??」
あきれ顔で葵が詩織に聞き返した。
「ええ♪」
(む....むごい)その場にいた詩織以外の人間の反応はそんな物であった。
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あとがき
葵 >6話ですね
詩織 >いつもより〜ちょっと長めですね〜でも〜私の待遇って一体
ZEEK >人体実験はマッドサイエンティストの必衰項目だろ??
茉莉慧>詩織さんってマッドサイエンティストだったのですか??とてもそうはみえ
ませんが
葵 >しかもなんか私たちの活躍がほとんどないような....(といってブラスター
をもてあそぶ)
ZEEK >も....もうちょっとまってください(;;
詩織 >私なんて〜ほとんど台詞がないんですよぉ〜
ZEEK >(心の声...やべえ...このままだと星にでもされてしまう)
葵 >少佐??
ZEEK >(ダッシュしながら)....ってことで次回もやってやるぜ!!
茉莉慧>あら...いっちゃった
葵 >せっかくケーキ用意したのにね
詩織 >私たちだけで〜食べちゃいましょ♪
続く? |