<近衛艦隊旗艦”ベルシュフィーネ”艦橋>
「殿下、まもなく想定戦場です。いかが致しますか??」
「そのまま進撃して下さい。それと全艦に直接指示を与えます全艦に回線を開くよう指示して下さい。」
副官のクリーム少尉に指示を出しつつクレアは戦場に向かっていた。






















少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第拾壱話”黄泉回廊沖会戦終結”


<大和”玄室”>
それは大和の中枢部に存在した。
巨大な大和をコントロールするシステム、未知の技術の結晶頭を切った円錐を上下反転させて繋ぎ合わせたような形をしているヤサカニシステム、その中央に大和第一艦橋にある茉莉慧の席とほぼ同じ形をしたコンソールがあった。
「ここね...」
奈々から受け取ったカードキーを使い玄室の扉を開けていた。
「第2艦橋..こちら桜小路、”玄室”に到着しました。オペレーションを再会します。」
『了解、桜小路さん気をつけてね。』
奈々からすぐに返事が返ってきていた。
「艦長はご無事ですか??」
『ZEEKさんはいま石原さんが医務室に連れて行きました、暫くは私が直接指揮を執ります。』
「了解です」
奈々との更新が終わり茉莉慧はオペレーションに入った。

<大和”第2艦橋”>
「司令、ここのシステムは大丈夫みたいです。」
美留は状況把握を済ませると奈々に報告をしていた。
「よかった...では戦闘を再開します。どうやら敵超大型戦艦の攻撃力を奪うことは成功したみたいですから砲撃を加えつつ残存艦艇と合流して下さい。」
「了解。第1から第5砲塔交互撃ち方再開!目標、敵超大型戦艦撃て!」

奈々の推測は正しかった。ラグナロクは攻撃システムに打撃を受け艦載機の射出すらままならぬ状況だった。

<ラグナロク艦橋>
「.......リフレクションシールドの復旧はまだか??」
エドワードは焦っていた。よもやラグナロクの戦闘能力が奪われるとは夢にも思っていなかったからに違いはなかったが。
敬愛する上官の前で失態を演じてしまったのだから.....。
「後20分下さい!先ほどの被弾で冷却効果は進んだのですが肝心のコントロールシステムが...。」
「言い訳はいい!早急に対処しろ!」
ダメコンチームがよくやっているのは解るのだがエドワードには時間がなかった。もうじき上官の艦隊が戦線に参加するのだから。

<ベルシュフィーネ艦橋>
「艦隊の将兵の皆さん、私達の任務は第一第二艦隊の残存兵力とラグナロクの回収にあります。できうる限り無駄な戦闘は避け速やかに回収を行いつつ帝都に帰還します。」
クレアは放送を終えるとエドワードとの通信回線を開いた。
「エドワードさん?」
エドワードはクレアの放った冷たい視線にドキリとした。
「で..殿下申し訳有りませんラグナロクを傷つけてしまいました。」
「エドワードさん???」
クレアの視線が更に冷たくなる。
「私は第一第二艦隊の救出は命じましたが”攻撃”は命じていませんよ??」
「も...申し訳有りません。」
「........まぁいいでしょう、後方へ下がりなさい。」
「はっ」
エドワードは恭しく頭を下げると回線を閉じた。
「殿下は宇宙艦隊司令長官には攻撃をお命じになりませんでしたか??」
クリーム少尉は疑問をクレアに問うてみた。
「それはそうしなければ艦隊は全滅していたからよ、士気が落ちきっていたら生き残って合流することは難しいから...まさかあれをT字戦法で撃退されるとは思っても見なかったけど。」
クレアは少し思案し新たな回線を開いた。

<エンタープライズ艦橋>
「司令!殿下から入電しております」
「繋げ!」
オペレーターに指示を出したバルゼーはメインモニターにクレアが出るのまって頭を下げた。
「殿下..申し訳有りません。私はもうこれまでのようです。」
クレアは少し意外そうな顔をしたが微笑みながらバルゼーに語りかけた。
「バルゼーさん、敵艦隊の司令官に繋いでもらえますか??」
「は??今なんと??」
「敵司令官に繋いで下さい、一時休戦します。」
「しかし!!.....いえ.......解りました少々お待ち下さい。」
バルゼーはしばらく考えた後静かに悟った。これ以上の流血は無意味だとクレアが言っていることを。

<大和第二艦橋>
『霧島司令、敵将より通信が入っております。』
「桜小路さん..繋いで下さい」
『了解。』
メインモニターに写った敵将の姿を見た奈々以外の艦橋の人間は息をのんだ。
それ程までにモニターの女性は美しかった。
「3年ぶりですね、奈々さん」
「相変わらず元気そうですね、クレリアさん」
艦橋の人間は今度こそ本当に驚いた。自分たちの上官が敵の司令官と親しげに話し始めたのだから。
「それで話というのは何ですか?まさか昔語りをするためにわざわざ通信してきたのはないんですよね?」
奈々の皮肉にクレアはクスッと笑うと語りかけた。
「では本題に入るとしましょう、.....我が帝国は汎亜細亜聯合と休戦すべく赴いて参りました。しかるべき責任者に取り次いでいただきたく思います。」
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あとがき
ZEEK  :11話です
茉莉慧  :間があきましたね〜
ZEEK  :うん......だいぶね
茉莉慧  :やる気がないんですね
ZEEK  :だってしょうがないじゃないか!
茉莉慧  :そんな頑張らなくても.....
ZEEK :...............
茉莉慧  :どうやってまとめるんですか??
ZEEK :次回もやってやるぜ!!!
茉莉慧:またごまかしてる......





続く?