<3年前 ラグナロク艦橋>
「殿下、まもなくランデブーポイントです。」
クレアはラグナロクの指揮官席で報告を受けていた
「さん...一応交戦戦域と言うことにして下さい。」
「はぁ....そうでしたなぁしかしまさか和平交渉が実現するとは思っていませんでした。」
気のない艦長の返事にクレアはクスッと微笑むと指揮官席から優雅な仕草で立ち上がった。
「でも今は主戦派に人達に知られてはいけないわ」
「そのための戦闘工作ですか....そんな偽装工作をせねばならんとは・・・やっかいですな」
「飛鳥皇国の皇太子...なかなかの切れ者みたいですね....クリーム、大丈夫??」

クレアはオペレーター席の横までいくとオペレーターに声をかけた。
「大丈夫です。クレア様」

























少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第拾参話”過去”


<聯合艦隊旗艦”三河”艦橋>
「想定宙域まであと46宇宙キロ!」
「想定宙域に帝国艦隊を確認!」
「奈々.......例え我々が命を落とすことになっても今回の交渉は成功させねばならん。」
「はい、お父様。」
オペレータータッチの報告が飛び交う中、聯合艦隊司令長官 霧島矧爾(きりしま しんじ)大将は傍らに立つ娘、奈々に語りかけていた。

氾亜細亜聯合各国から供出され聯合を防衛するために編成された艦隊、それが聯合艦隊。
中華民国などからは多少の反発があったが、防衛艦隊の殆どが飛鳥皇国から拠出されている現状から
概ね了承された呼称であった。


そしてランデブーポイントに到達した両艦隊はそれぞれが全権代表と言う形を持って交渉に入った。

<ラグナロク格納庫>
奈々はZEEKを連れて内火艇を降りた。
「ラグナロクへようこそ!」
奈々は驚いた、自分たちを出迎えたのはクレア本人なのだから。
「飛鳥皇国少将 霧島奈々です。司令長官の代理を仰せつかってまいりました。」
奈々は敬礼とともに挨拶を交わした。
「クレリア・フォン・ランドルフです、勇名高き守護天使にお会いできて光栄ですわ。」
クレアは優雅に返礼した。

<ラグナロク会議室>
交渉の内容は非常にスムーズにすすみ休憩時間となった。
「霧島さん、お茶をご一緒しませんか??」
席を立とうとした奈々はクレアがあまりにマイペースに面を食らった。
「は..はぁわたくしでよければ。」
そこのZEEKが耳打ちする。
「お嬢様、御自重下さい(ぼそぼそ)」
「信用の問題です、お受けしないわけにはまいりませんわ(ぼそぼそ)」

<ラグナロク クレア私室>
クレアの私室にはいるとクリームがお茶の準備をして待っていた。
「クレア様、準備は整っております。」
「ご苦労様、クリーム」
にこやかな顔で返礼するクレアを奈々が見つめている
(なに?何か引っかかる...クレア...クリーム....どこかで...あっ!!)
ハッとした顔をした奈々は考えていたことを口にしてみた。
「殿下.......。」
「何ですか?霧島さん。」
「それにクリームちゃん、お久しぶりね....本当に」
「やっと....思い出してくれましたね奈々さん」
クレアに安堵の色が浮かんだ。
「え??どういうことですか??クレア様??」
「14年前中立惑星エデンでお友達になった女の子のことを覚えてない??」
今度はクリームがはっという顔になった。
「そ..それじゃあ」
「私もびっくりよ...エデンのお友達がまさか敵将になってやってくるんですもの和平交渉でほっとしたわ」
3人は再会を喜び合い休憩時間はあっという間に終わった。

<??? ??>
「「「「和平交渉に破滅を!」」」」

<ラグナロク艦橋>
クリームは艦橋のコンソールパネルを操作しシステムを呼び出す。
≪どうしたの?お姉ちゃん≫
少女がモニター越しにうれしそうなクリームに話しかけてきた。
「あのね鈴ちゃん..........」
どれくらい話をしただろう...突然 鈴と呼ばれる少女がおびえだした。
「どうしたの!!鈴ちゃん??」
≪怖いの....なにかやってくるの!!≫
異常を察知したクリームは通信回路を開きクレアに異常を告げた。
『殿下!緊急事態です!メインシステムに異常発生!!コ..コンバットシステムが起動しました!!駄目!!止まりません!!!』

<ラグナロク会議室>
「な.....なんですって!!!」
クレアが珍しく大声を上げた。
「鈴ちゃんはどうなの??」
『鈴ちゃんは自閉モードにはいりました..と言うより何者かに閉じこめられたと言うべきです』
別のオペレーターの声が響く
『大変です!全ての兵装がシステム制御下から離れました!!!ショックウェーブカノンにエネルギーが充填されています!!』
「かまいません!全ての界をを遮断しなさい!」
『手遅れです!!!ショックウェーブカノン発射されます!!!』

そしてラグナロクの...いやショックウェーブカノンの砲口先には聯合の艦隊がいた。








艦隊は文字通り壊滅した内部機構を破壊されショックウェーブカノンの衝撃の後に
”内部から爆発を起こし”唯一隻残った旗艦”三河”もコントロールを失いアステロイドベルト群の方へ”漂流”していった。

「お....お父様............。」
奈々は突然のことに呆然とし力無く立ちつくした。








<現在 岩戸要塞貴賓室>
「後は......私が話しますわ。」
クレアの話に聞き入っていた茉莉慧の背後から奈々が話しかけた。
「閣下........」
「和平交渉は当然その事件で決裂、継戦派の圧力で和平交渉は闇に葬られ生き残った私とzeekさんは敗残の将と言うことで責任追及がきたわ。
そしてそのさなか見つけたのが”大和”だった....。」
「暴走の原因は..解ったのですか??」
茉莉慧が質問をする....同様のシステムを持っている大和も暴走するのではないかと感じたからだ。
「暴走は外部からのハッキングだった....そしてラグナロクの鈴ちゃんは心を閉ざしてしまった...。」
クレアが悲しげに微笑み茉莉慧に語りかけた。
「悲劇は繰り返してはなりません、桜小路さんミコちゃんは強くなれます、心の成長.....それが大和の強さにつながります。」
「だから大事に育てて欲しいの」
クレアの言葉を奈々が引き継ぐ。
「それに.....大丈夫よ大和には石原さんをはじめとする優秀なスタッフがそろってますもの前みたいに簡単にやられはしないわ。」
「犯人はだいたい分かっています...。」
クレアの発言に茉莉慧が振り返る
「犯人は”影の使途”.....地球の有史以前から各地で争いを起こしその利権をすすってきた外道達....。」



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あとがき
ZEEK :13話です
茉莉慧  :やっと3年前の秘密が明らかになりましたね〜
ZEEK :うんやっとだよ....
茉莉慧  :でも中立惑星エデンなんていつ作ったんですか??
ZEEK :まぁ必然みたいなもんでしょう
茉莉慧  :設定資料にありませんが......
ZEEK :だって書いてないもん
茉莉慧  :....................
ZEEK :次回もやってやるぜ!!!







続く?