<飛鳥皇国皇族艦”飛鳥”展望室>
飛鳥皇国皇族艦”飛鳥”通称”武装クルーザー”
戦艦並の装甲と巡洋艦並の速度を有し駆逐艦程度なら返り討ちに出来る優秀艦である。
その展望室に2つの人影があった
「殿下....そろそろ岩戸要塞でございます。」
殿下と呼ばれた少年は展望室から見える岩戸要塞を見ながら答えた。
「君の.....姉上もあそこにいるんだったね。」
「御意にございます殿下」
「歌織(かおり)....例の件....頼んだよ。」
少年は少女の方を見て微笑んだ....それは天使のような微笑みであった。
少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第拾五話”皇太子”
<岩戸要塞、第一宇宙港、特別桟橋>
「そろそろ...入港だな」
「はい。」
三条のつぶやきに奈々が答えた。
「奈々は確か殿下のおもり役だった時期もあったんだよね?」
「ええ...」
「殿下ってどんな方なの?」
瑠璃の問いに奈々は優しく微笑むと語りだした。
「みんなに優しくて...でも寂しがり屋の可愛い方よ。」
「でも殿下ってあのお歳ですでに大学課程を修了なさってるのよね..すごいよねぇ」
「”飛鳥”が入港してきたわ」
瑠璃のつぶやきは奈々の注意で中断された。
飛鳥は流れるような静かさで入港し測ったように正確に桟橋に着いた。
「さすがね....飛鳥の艦長は聯合艦隊旗艦の艦長になるよりも技量が必要だって聞いたことがあるよ」
瑠璃は感嘆の声を漏らしながら定位置に着いた。
「いよいよね」
奈々も感慨深く定位置に着く。
程なくして。係留が終了しエアロックのが開き一人の少年が現れた。
美少女ともとれる中世的な顔立ちをした華奢な少年であるがどこか気品を感じさせる。
それをみた岩戸要塞の3人の将官、三条、奈々、瑠璃は一斉に敬礼をした。
「元気そうだね三条。」
「はっ陛下のご意向の賜物であります、殿下におかれましてはお変わり無く 臣 三条この上ない喜びでございます」
やはり少女のように透き通る声で殿下と呼ばれた少年は要塞司令である三条に挨拶をする。
言うまでもないが彼が飛鳥皇国皇太子、和仁親王(かずひと)(14)である。
「霧島....久しいな。」
「殿下もお変わり無く..。」
奈々がなぜか訝しげに(もっとも他人は気が付いていないようであるが)返事をする
「霧島....あとで話がある。」
「御意...お伺いさせていただきます。」
盛大な閲兵式を兼ねた皇太子の要塞入りであった。
<ベルシュフィーネ司令官室>
「彼女が皇太子ですか.....。」
閲兵式の映像を見ながらクレアは呟いた
「殿下!男性でございます、それよりも書類の決裁をお願いいたします。」
赤毛の文官とおぼしき女性がクレアに書類への決裁伺いにきており催促をする。
クレアの前には山のように積まれた”決裁済み”の書類が積まれており彼女の事務処理能力の非凡さが伺えた。
「もう終わりでしょ?それともまだあるのかしら?シノマさん?」
シノマと呼ばれた文官の女性は少し頬を膨らませるとこう呟いた
「解ってておっしゃるんですもの..殿下意地悪です。」
.......すねてしまったようである。
<岩戸要塞皇太子控え室>
「で......どう言う事か詳しく教えてくれるかしら??」
「ふ.....ふみぃ〜〜〜〜〜」
皇太子控え室では奈々が皇太子に詰め寄っていた。
「ふみぃじゃありません!」
「だ...だって姉様!!!」
「歌織??殿下は何処にいらっしゃるの??」
皇太子の正体...彼女の名は霧島歌織..奈々の妹である......もちろん影武者である
「殿下は.........。」
そのときであった...奈々のPDAが突然アラームを発したのだ。
<大和艦橋>
皇族艦入港の関係で各艦は警戒態勢に入っており大和も同様であった
その多忙の中 美瑠は艦橋へ入室する人物を認め振り返った
そこにはにこやかな笑顔の少年が立っていた。
「きみ.....ここがどこだかわかってるよね??」
「うん....僕 奈々に会いに来たんだ...居ないの??」
「奈々???」
「そっ...霧島奈々」
何者か解らないがあからさまに妖しい.....しかも司令を呼び捨てにするとは.....関係者かしら??
「ちょっとまっててね.....」
そう言うと美瑠は奈々への呼び出しコールを始めた。
奈々はすぐに通信に応じた。
『霧島です』
「閣下...お忙しいところ申し訳ありません。」
『何かあったのですか??』
「あからさまに妖しい少年が....閣下に面会したいといきなり艦橋に...」
『少年??まさか!!!!その少年を司令室にお連れして...くれぐれも無礼の無いようにお願いします!!私もすぐ行きますから』
奈々の瞳が驚きの色を露わにしてこちらに向かうという....
閣下が慌てるなんて......一体どういうことなのかしら....
「まぁ....いいわ...君、ついてきてくれるかな??司令の部屋に案内するから。」
「ありがとう...お姉さん」
美瑠は透き通るような笑顔を少年みてなぜか顔を真っ赤にした。
(美瑠...あなたはノーマルなのよ...ショ..絶対に違うわ...でもこのときめきはなぜ)
彼女は気が付かなかったが艦橋にいる殆どの女性が美瑠と同じ様な表情をしていたのである恐るべし少年。
<大和司令官室>
少年は美瑠の案内で司令官室にはいると何の躊躇もなく司令官席に腰をかけた
「き....きみ!!!」
美瑠が制止しようとするが
「いいのいいの.....それより奈々はまだかな??」
どうしよう.....怒られちゃう...
美瑠が困っているとそこへ奈々が息を切らせて飛び込んできて...少年の方へ駆け寄った。
「..閣..「もう!!!!心配させないで下さい!!殿下!!!」
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あとがき
ZEEK :15話です
茉莉慧 :めちゃくちゃお茶目な皇太子殿下ですね
ZEEK :ふふふ...彼のお茶目に暫くつきあってもらうさ
茉莉慧 :...いや...ショタは嫌ショタは嫌ショタは嫌
ZEEK :何呟いてるんだ(^^;;;
茉莉慧 :だって.....
ZEEK :まぁ君慣れてるだろ??あのエンジェルスマイルには
茉莉慧 :何でです??
ZEEK :皇国貴族の娘が皇太子と面識無い訳ないじゃん
茉莉慧 :あ........
ZEEK :ってことで次回もやってやるぜ!!!
続く? |