<謎の空間>
少女は暗闇の中一人膝を抱えていた。
音・光・・・温もりさえ遮る真の闇.....少女は
自分の殻の中に閉じこもっていた.....。
時折聞こえてくる弾劾....”人殺し!”、”虐殺者!”
少女の強くない心は否応なしに打ちのめされていく。
「お姉...ちゃん......私.....。」
少女の頬を一筋の光が伝い....そして床に落ちる。
何度繰り返されただろう........

不意に少女の目の前の空間が眩い光を発しながら光の空間に変わる。
そこに現れたのは..金色の槌を携えた少女であった。
槌を携えた少女は眩いばかりの笑みで暗闇の少女に語りかける。
「久しぶり!鈴お姉ちゃん!」



























少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第弐拾話”絆”

<大和玄室システム外部コントロールルーム>
「先輩!バインドプロテクト突破しました!!」
美華がうれしそうに詩織に報告する...が詩織はあきれていた。
「み...みかちゃん.....あの無茶苦茶な槌は何かしら???」
詩織の問いに美華が嬉しそうに答えた。
「艦長が持ってた旧世紀の記録ディスクにあった黄金の破壊神の武器からヒントを得た”ゴルディオンバニッシャー”です!なんと全てのウィルスを破壊できる上にプログラム修復までしてしまう美華のスペシャルメイドアイテムですぅ!」
「......旧世紀の記録ディスクってもしかして.....。」
「はい!熱いロボットさん達の戦いですぅ!」
たら〜〜っとしながら答う詩織に美華は力一杯答えた。
詩織はため息をつくとコンソールについていたクリーム少尉に話し掛けた。
「........クリームさん、今システムは鈴ちゃんと直結しました。私達が出来るのはここまで.....後はあなた達が解決して下さい。」
『はい、詩織さん....有り難うございます。』
そして、クリーム少尉は、決意に満ちた目でシステムへのコンタクトを開始した。
「鈴ちゃん..........。」

<謎の空間>
「みこ......ちゃん?」
鈴と呼ばれた暗闇の少女は恐る恐る槌の少女に話し掛けた
「なあに??鈴お姉ちゃん??」
「どうやって.......来たの??」
そう......みこは大和中枢制御システムの仮想人格..ラグナロクに現れるはずがない。
「.........それは私が導いたからよ。」
聞き覚えのある女性の声に鈴はビクッと反応し恐る恐る振り返った。
「久しぶりね.....鈴ちゃん。」
クリームはぎこちない微笑みと共に鈴をやさしく抱きしめた。
「くりーむ.....お姉ちゃん........。」


<大和第一艦橋>
「桜小路君、ミコ君のサポートなしだがいけそうかい??」
フェサルーン艦長代理が茉莉慧に聞いた。
「大丈夫です、艦内の人員増員に伴いマニュアル化がほぼ完了しました。ヤサカニシステムがシステムダウンしたとしても本艦の戦闘能力はいささかも衰えはいたしません。」
茉莉慧のはっきりとした返事にフェサルーン中佐は頷くと次々と指令を出した。
「過粒子砲拡散モードでの発射後、第二水雷戦隊..および第17駆逐隊は前衛突出!、全魚雷掃射後回廊外へ退避!.....艦載機隊...近衛大尉....準備はどうか??」
「こちら艦載機中隊...全機いつでもOKです。敵艦隊を翻弄してごらんにいれるわ。」
「期待しているぞ!...例のタイミングで出撃頼む!」
「了解......後はクリームちゃんしだいね。」
「ああ.........」
一瞬フェサルーン中佐に影がよぎるが振り払うように命令を実行に移した。
「全艦作戦開始!では諸君。エクラゼ・ランファーム!(虫けら共を捻り潰せ!)」

<謎の空間改めラグナロク中枢”ムラクモ・システム”中央コントロール>
「クリームお姉ちゃん......私たち....大勢の人を死なせちゃったんだよね.........平和を望んでた人たちを..。」
暗い表情のまま鈴はクリームへというよりも自分への独白をはじめた。
「ええ...そうよ...それは今更どう言い訳も出来ない事実。」
クリームもまたくらい表情のまま鈴の問いに答えた。
「私.....虐殺者なんだ..........。」
「私もその汚名を一緒に背負ってあげる.....あなたは一人じゃないのよ???.....そう...最近まで私も気がつかなかった.....でも皆がいるから...居てくれたから私は立ち直れた.........鈴ちゃん.....無理しなくていいのよ??.....思いっきりなき泣きなさい.......私が抱きしめていてあげるから.....。」
「私......私.........わたし........」
クリームの言葉で鈴は堰を切ったように泣き始めた。
「もう......無理しなくていいのよ。」

ミコはそんな二人のやりとりをずっと見ていた.......。
(茉莉慧お姉ちゃん二人のことをよく見ておけって.....私にはよくわかんないな.......よわっちいやつらをやっつけて何で二人とも後悔するのかな......でも......鈴お姉ちゃん...泣いてるのに嬉しそう....。)

しばらくたって鈴が落ち着きをとりも出すとミコがこじ開けた光の空間が広がり.....そして3年ぶりにラグナロクはまやかしのダミーシステムではなくムラクモシステムが制御を取り戻した。

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あとがき
ZEEK :弐拾話です
茉莉慧  :大台ですね......いつまで続くんですか??
ZEEK :わかんねぇ
茉莉慧  :おいおい(^^;;
ZEEK :いいやん.......でもこれでラグナロクが完全復活だね
茉莉慧  :......戦闘シーンがなかったから数名の方の活躍はまた次回に持      越しですね
ZEEK :ちょっとね.......やっぱ心理描写って難しいね
茉莉慧  :今回は私たちも少しは出番ありましたね♪
ZEEK :次回からどうなることやら(ニヤリ)
茉莉慧  :いやな笑いですね......
ZEEK :ってことで次回もやってやるぜ!!!(シュタッ)



続く?