<ラグナロク大艦橋>
異変に最初に気がついたのはラグナロク現オペレーターのフィリア・ノイス少尉であった。
「あら?.....大変!艦長!システムがヴァルムングシステムからムラクモシステムに書き変わってゆきます!」
「なに???暴走は..暴走の危険はないのだろうな???」
「......空間転移システムが稼働を開始しました!」
「なんてこった......。」
各オペレーターの報告が飛び交う中艦長は呆然とつぶやいた...。
「艦長!通信.....いえ次元通信...司令長官殿下からです!」
少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第弐拾壱話”要塞防衛戦(前編)”
<大和第一艦橋>
「拡散過粒子砲いけぇ!!!!!!!!!」
美留の叫びと共に大和の過粒子砲が火を噴き宇宙港のゲートの一部を誘拐させつつ突き進み敵艦隊の前で分裂し敵艦隊の一部を焼き尽くす。
「これが拡散過粒子砲か...凄まじいな....水雷戦隊進撃にあわせ本艦も統制射撃しつつ出航!微速前進!水雷戦隊緊急出航せよ!」
フェサルーン中佐は感心しつつも命令を続ける。
「微速前進ヨーソロー」
<第二水雷戦隊旗艦”豊川”艦橋>
「司令!通信です!」
「おう!回してくれ」
久々の戦闘に心躍らせる珠蓮少佐であったが出鼻をくじく形での通信に気分を害したのか不機嫌に答えウィンドウを開くと神妙な面もちのZEEKがいた。
「珠蓮..........死ぬなよ。」
「わかってる。」
「.......後であおう」
ZEEKは言うだけ言うと通信を切った。
(ZEEK.....なにを企んでやがる.....まぁ後でとっちめればいいか)
「野郎ども!合戦だ!一隻につき二隻..いや三隻は沈めろ!」
配下の十二隻の艦長が力強く頷くとウィンドウを閉じた。
「全艦出撃!けちけちしねーで最初っから全力航行だ!!!往け!」
珠蓮少佐の命令に全艦艇が高速戦闘機のごときスピードで宇宙港をでてゆく..無論法定速度は無視であるがぶつからないのは技量の高さ故であろう。
<大和艦橋>
「水雷戦隊、駆逐戦隊突出します....いえ水雷戦隊が突出しています。」
楠香の報告をうけフェサルーン中佐は頷いてパネルを確認しながらつぶやいた。
「珠蓮少佐か.....見事な突撃だ....まだ被害らしい被害はないみたいだな。」
実際 珠蓮少佐の艦隊の機動は見事に尽きた...全力航行で突撃しつつ敵艦の砲撃は巧みに避ける..かつ射点を確保した上で宇宙魚雷を放っつ...そのして豆鉄砲ながら主砲弾をばらまきながらアステロイドベルトへ退却していった。
「水雷戦隊アステロイドへの非難を確認!」「艦の宇宙港よりの離脱を確認!」
報告が飛び交う中フェサルーン中佐は懐から懐中時計を取り出し時間を確認し命令を続けた。
「防御フィールド全開!全砲門右舷敵艦隊に向け打ち方始め!」
「了解!全砲門右舷斉射!てぇ〜〜!」
フェサルーン中佐の命令を受けた美瑠はすぐさま砲撃を開始した。
「甘木君!最大戦速!拡散過粒子砲であけた帝国方向回廊出口方面へまずは敵艦隊を引き離したまえ!」
「了解!本艦の俊足をご覧に入れますね!」
防御フィールドが敵の攻撃をほぼ防いでくれていたおかげで比較的暇であった恋はようやくの出番に張り切って答えた。
大和は速力を上げ敵包囲網の外へとその位置を移動させつつあった。
「桜小路君......岩戸システムの方はどうか?」
「はい、たった今制御を回復しました。」
「電子戦....開始だ。」
「了解!ミコちゃん!いくわよ!」≪判ってるよ♪敵艦隊を混乱させればいいんだよね?>≫
戦闘は順調に..大和側に有利に進んでいた。
<暗黒の会議室>
「議長....緊急招集とはどういうことですかな??」「左様......緊急招集とは穏やかでありませんぞ?」
あわただしく集まったと思われる人物達が緊急招集をかけた議長を務める老人に詰め寄っていた。
「姫が.......姫が黄泉回廊へ例の艦に乗って行かれてしまわれた。」
議長の発言は周りに波及的に騒ぎが広がった。
「なんと!!まだわれわれが現れる時期ではない!!」「姫は何を考えておられるのだ??」「どうするのだ?姫のみに万一の事があったら!!!」「対応策は無いのか??」
老人達が慌てふためくさまを見るのはある意味滑稽である。
「静まれ!総統陛下の血筋を絶やすわけには行かぬ.....すでに2個艦隊を差し向けた...吉報をまとう。」
吐き捨てるように議長は言い.....周りに急な静寂が訪れる。
「新第三帝国元老院始まって以来の不祥事だ..........姫....どうかご無事で。」
議長の切な願いが会議室に響いた......。
<大和艦橋>
「艦長代理......敵艦隊から通信が入っておりますが....どうなさいますか??」
戦いがほぼ思惑通りに進む中茉莉慧がフェサルーン中佐に報告していた。
「ん?......繋ぎたまえ。」
戦闘が表示されていたメインパネルに戦闘画面が縮小表示されると通信画面に仮面を付けた圧倒的な威圧感を持つ女性が映し出された。
『大和の諸君......私は新第三帝国聖総統ブリュンヒルト・ヒトラーだ。諸君らの戦いぶりなかなか見事だ。』
「こちらは大和艦長代理フェサルーン中佐だ......冷やかしなら止めにしてくれ。」
『いやいや.....先ほど揮下の艦艇が諸君らの仲間と思われるシャトルを拿捕した.....といえば判って貰えるかな?.......10分だけ考える時間をやろう.....よき選択をしてくれる事を楽しみに待っているよ....』
すっと通信が切れメインパネルが戦闘画面が元の大きさに戻る。
「茉莉慧君.......。」
フェサルーン中佐は茉莉慧の方を見ると確認した。
「はい......聯合..帝国ともにデータ上にブリュンヒルト・ヒトラーなる人物と新第三帝国なる組織は存在しません。」
「しかしわれわれの目の前にはその新第三帝国を名乗る艦隊がいる.......これは事実なのだ。」
「先ほどの通信ですが......タイムスケジュール的に見て軌道防衛ステーションを脱出した草薙大佐のシャトルと思われます。.........大佐が持っているはずのデータは今後絶対に必要となってきます。」
「万事休すか..........。」
その時であった......急に通信ウィンドウが開き画面にいたZeekはにやりと笑うとこう述べた。
「フェサルーン中佐......策があるのですが。」
=================================
あとがき
ZEEK :弐拾壱話です
茉莉慧 :また前後編ですか??
ZEEK :ふっ............
茉莉慧 :纏まらなくなったんでしょ??
ZEEK :うぐぅ............
茉莉慧 :うぐぅじゃないです!!
ZEEK :ちょっとね.......心境的にブルーでね
茉莉慧 :あらら......大丈夫ですか??
ZEEK :次回からどうなることやら(ニヤリ)
茉莉慧 :いやな笑いですね......
ZEEK :ってことで次回もやってやるぜ!!!(シュタッ)
続く? |