<惑星アマテラス・某研究所>
そこはモニターに囲まれた部屋であった。そしてそこにはキータイプの音だけが鳴り響いていた。
永遠と思われたキータイプ音も”PI!!”と言う音と共に部屋に静寂が訪れる。
「ふむ....石原君も腕を上げたようだが.....まだまだだな。」
男は聴くものが居ないだろうとつぶやくが.....
「は...博士.....大佐がお呼びです....。」
クーデーター軍の.....たしか田中少尉といったか..ともかく言いにくそうに自己主張をした。
「おおぉ...い.居たのかね..少尉。.....今..行くよ。」
気まずい沈黙が続くが博士と呼ばれた男は田中少尉を連れ立って部屋から出ていくことにした..そして残された部屋のモニターには
”プロテクト解除、起動防衛システム再起動”と表示されていた。






































少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第弐拾四話”交錯” 

<岩戸要塞・作戦会議室>
ここでは惑星アマテラスを占拠している軍に対する会議を行っていた。
「まずクーデーター軍の陣容について....草薙大佐より報告があります。」
議事進行していた奈々が優恵に報告を求めた。
「はい、反乱軍の主力は竹崎提督麾下の第4艦隊、首都防衛軍歩1、歩2、及び近衛第3連隊.....そして帝都防空司令部...」
優恵が言い終わる前にガタッっと言う音が2つした.....茉莉慧と..葵であった。
「帝都防空司令の桜小路公人大佐は今回のクーデーター軍の総指揮を執っていた模様です。」
優恵の報告が終わると同時に二人はうなだれるようにぺたんと座り込んでしまった。
「.....桜小路大佐と言えば桜小路さんの兄上で近衛さんの婚約者でしたね...。」
奈々が気の毒そうに二人を見つめ...一呼吸置き..冷酷とも思われる一言を告げた。
「今回はあえてお二人に意見を頂くことにします、桜小路さんが居なければ大和による威嚇もできません。近衛さんの指揮がなければ敵航空部隊の攻撃は凌げないでしょう。であるならラグナロクを投入し問答無用の殲滅戦しか残っていませんが......貴女達はどうしたいですか?」
奈々は真剣な表情で二人に問いかけたが返事は帰ってこなかった。
「ふぅ......仕方ないですね.24時間...いえ48時間だけ猶予を与えます.それまでに決めて下さい...それでは今日はここまでにします。」
なかなか帰ってこない返事に奈々は会議の中断を宣言し暗い雰囲気のまま終了した。

<アマテラス・防空司令部>
「遅れました」
五十代博士が司令室にはいるとそこにはクーデター政権の首脳部と確保された体制派の重臣たちが対峙していた。
「公人....どうしてこうなってしまったのだ。」
桜小路法務相が首班である公人に問いつめる形になっていた。
「義父上...私の部下は....先人たちの流した血を無駄にすることは出来ないのです。」
「だからこそ!だからこそ講和しなくてはならんのだ!先人達も後に残るもの達の幸せを願って散っていったはずだ。」
「残されたもの達の恨み.....決して消えるものではありません。」
膠着状態にはいるかと思われた口論は意外な人物の参戦で急速に戦線を縮小する事になる。
「茉莉慧はどうする?..そして葵はどうする???」
近衛宰相であった......。
「叔父上....それはどういうことでしょうか??」
「知らぬのか......殿下..いや陛下は現在玉体を岩戸要塞に置かれておられる。」
宰相は岩戸要塞と思われる方角へ一礼し話を続ける。
「付き従うのは霧島少将麾下の第7艦隊......旗艦大和のオペレータはお前の義妹の茉莉慧....空戦隊長兼航空参謀は....葵だ。」
宰相の言葉に公人は一瞬驚いた表情を出すが.....「それも本望でしょう。」
とぽつりと漏らすと...要求を続けた。
曰く....亜細亜連合の盟主たる飛鳥皇国に覇権を
曰く....神聖銀河帝国との戦闘の継続を
曰く....軍備の充実と増強を
「これでは古の大日本帝国の復活ではないか.....。」
誰かがつぶやいた...が.それは紛れもない事実であった。

<岩戸要塞・展望室>
葵はそこにたたずみ...宇宙を眺めていた。
「葵姉さん.......兄様は一体何で........。」
静かに近寄ってきた茉莉慧の問に静かに首を振りながら答えた。
「どうせあの馬鹿の事よ....暴走した部下を押さえきれなくなってやむなしに責任者になったんじゃないかしら....ホントお人好しなんだから。」
葵はかる口をたたきながら肩をすくませた...が瞳いっぱいに涙をためていた。
「葵姉さん..................私たちが....私たちが兄様を止めるしかないんですよね???」
「そう....そうね!!私たちがあいつを止めるしかないのよね....」
茉莉慧と葵はそれに希望を託した....。

翌日.クーデーター軍討伐の勅命が下った。

<ラグナロク艦橋>
「全員の奮闘と帰還を希望します。」
メインモニターには敬礼しつつラグナロクを見送るクレアの姿があった。
「フェサルーン大佐麾下の帝国義勇軍、飛鳥皇国第7艦隊支援のために出撃いたします。」
艦橋の人間は総立ちで敬礼しつつ艦は岩戸要塞軍港を出港した。

<大和艦橋>
「陛下.全艦出撃準備完了いたしました。」
ZEEKの報告に和仁は頷く。
「全艦出撃!」
奈々の短いがはっきりした命令が飛び麾下の艦隊は抜錨し岩戸軍港を出港していった。

<帝国艦隊艦橋>
「行ってしまったわね.....。」
クレアが感慨深くつぶやくとシノマはそれに答えた。
「あの人達なら.きっとうまくやって下さいますわ」
「そうね.....。」
「ところで殿下...決裁書類ですが.........。」
にこやかなシノマの後ろには膨大な量の決裁書類が立ち並んでおり..それを見たクレアはただ溜息をつくのであった。

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あとがき
ZEEK :弐拾四話です
茉莉慧  :やっと続きですね
ZEEK :コミケで忙しかったしね
茉莉慧  :正月はボケッとしてたのに...........
ZEEK :いいやん.......たにはぼ〜〜〜〜っとしたい時期もあるさ
茉莉慧  :謎の大佐.......お兄様だったんですね
ZEEK :いろいろ裏設定の結果義理のお兄様にしました♪
茉莉慧  :どういうことなんでしょう..........
ZEEK :その方が萌えるからさ!!!
茉莉慧  :おいおい(ーー;;;;
ZEEK :ってことで次回もやってやるぜ!!!(シュタッ)




続く?