<大和参戦会議室>
奈々は頬杖を付きながら考えにふけっていた.......
(敵は第4艦隊......竹崎の叔父様か......やり辛いわね)
ディープ竹崎中将・・・・彼は奈々の後見人であり故霧島元帥の後輩に当たる...指揮は的確であるが些か大雑把な指揮を行う...また戦闘中に意味不明な命令を出すことでも有名である。
(突撃時に”ぶぁ〜っと行け!”と命令を出したことは亜細亜聯合艦隊史に残る珍命令であった)
兵達はこの剛毅な提督を親愛を込めて”無責任提督”と呼んでいた。






































少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第弐拾五話”こんな事もあろうかと” 


<大和格納庫>
葵も乗機の整備をしながらぼーっとしていた。一度は決心したものの時間があるとどうしても迷っている自分を発見し嫌になる。
「隊長ぉ!整備終わりました♪.......ってどうしたんです?」
自分の機の整備の終わった綾は心配そうに葵をのぞき込む....が反応がない、時々溜息をつきながら同じような作業を繰り返す。
「隊長?...もしも〜〜〜し?...だめだこりゃ(苦笑)」「綾ちゃん♪どうしたの???」
肩をすくめて戻ろうとした綾は不意に後ろからハイテンションな声が掛けられた。

「飛鈴中尉と美都里......実は..隊長が変なんです。」
綾が振り返るとそこには艦載機隊小隊長の紗 飛鈴中尉と飛鈴中尉の部下の辰川美都里少尉が立っていた。
「先輩が??」「ええ....なんかぼーっとしてて溜息ばっかりで..。」
「これは...もしかして..ふふふふふふふふふふふ。」「どうしたんですか?隊長??」
突然怪しげな笑いをあげ始めた飛鈴に驚いた美都里は冷や汗をかきながら聴いてみた...
「きっとついに桜小路大佐にプロポーズされたんだわ!!!」
ぐわっっという擬音が聞こえてきそうな勢いで飛鈴は声を跳ね上げた.....が葵は相変わらず無反応に溜息をついていた。
「え?近衛大尉ってトップエースで帝都防空司令の桜小路大佐とつきあってたんですか??」
.....兵の動揺を抑えるためクーデター部隊の全容は明らかにされていなかった.....しかし今はそれが完全に裏目に出てしまっていた。
「そうよ!..嗚呼二人はついに結ばれるのね!」「わ〜〜おめでたいですね〜」「そんなんじゃないわ!!!!」
トリップを始める飛鈴と盛り上がる綾と美都里.....しかしいきなり否定されギョッと振り返ると涙をためた葵がハッと口元を押さえ棒立ちしていた。
「あ...ごめんなさい.....。」
そういうと葵はダッシュで格納庫から出ていった。
「.........逆だったんでしょうか.......。」
残された三人は訳が分からないといった風に呆然とし...美都里の的はずれな呟きだけが響いた..。
格納庫内にいる多くの整備兵も他のパイロットも初めてみる葵の涙に動揺を隠せず.....格納庫は悲痛な沈黙に包まれた。
「まずい.......な。」「ええ.....葵の気持ちも分かりますが..このままではいけませんわ。」
通路の影から事の顛末を見ていた二つの影は誰にも気がつかれることなく通路に消えた。

<大和艦橋>
そのころ艦橋でも
「ねえ恋.....茉莉慧最近変じゃない?」
「そうね.岩戸要塞をでてからずっと妙に元気なのよね..。」
恋と楠葉は岩戸要塞を立ってからの茉莉慧のハイテンションに首をひねっていた。
「貴女達に言われたら茉莉慧も浮かばれないわね.....」
苦笑しながら美留も参加するが.......美留は立場上、茉莉慧と葵の変化の理由を知っているため複雑な面もちで苦笑するしかなかった。
≪お姉ちゃん.....本当にいいの?≫
(ミコちゃん...葵姉さんはあんな感じだし私だけでもがんばらなきゃ!兄様に会うまで葵姉さんは私たちが守るのよ!)
≪お姉ちゃんがそういうならミコも応援するよ♪≫
(ごめんね.....でもありがとう)
気持ちを切り替えた茉莉慧はやるべき事を成そうと心に誓うのであった。
「副長....そろそろ作戦会議の時間です」
「そう.....もうそんな時間なのね恋、楠香!後頼むわね!茉莉慧...行きましょ?」「はい!」

<大和作戦会議室>
「まず我々の当面の敵は飛鳥皇国第四艦隊です..........ハードラック提督ディープ竹崎中将揮下、戦艦6、空母3、巡洋艦12、駆逐艦64の大艦隊........これを双方最小限の被害で鎮圧したいのですが............いまだ明確な案は出ていません......各員の忌憚無い意見を聞かせてもらいたく作戦会議を開催しました、...活発な意見交換を期待します。」
奈々の開催宣言と共に会議は始まった。
「これだけの大艦隊を双方の被害を抑えた形で....でか.....難しいな。」
「珠蓮は突撃屋だからな......絡めては苦手だろ?(近衛君は欠席か.....まだ踏ん切りがつかないか.........)」
珠蓮の呟きを耳ざとく聞きつけたZEEKの突込みが入るもっとも頭では別の事を考えてるわけで実に器用であった。
「会敵ポイントの情報はありますか??」
「多分............アステロイドベルト出口付近になると思いますわ。」
フェサルーンの質問に詩織が応える。
「アステロイド出口なら.........海峡封鎖という手もありますね」
「さすがフェサルーン大佐....私とおなじ作戦ですか」
「フェサルーンさんもZEEKさんも私とおなじですか.......でもいくつかの問題点で私も躊躇しています。」
二人の意見を聞いた奈々は顔を暗くしていった。
「いったん機雷で封鎖してしまったら.......降伏後助け出してあげれませんものね。」
意図を察した美瑠も意見を出すが...解決策を出せなかった。
「「ふふふふふふふふふ」」
と...突然ZEEKと詩織が笑い出した。
「ど....どうしたんですか??ZEEKさんに石原さん」
奈々は半分怯えながら二人に声をかけてみた。
「その対策案はすでに出来ております...詩織君!」
「はい!御任せ下さいまし♪”こんな事もあろうかと”取って置きの武装を開発しておきましたわ!!!!!!」

......追伸.......
そのとき会議に出席していたものは後にこう語った。
「”こんなこともあろうかと”といった石原博士の背中に稲光を見ました。」
「そのときの博士の目は異様なくらい輝いてました。」
「..........詩織さんって本当に”こんなこともあろうかと”というのに執念燃やしてるんですね(汗)」

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あとがき
ZEEK :弐拾五話です
茉莉慧  :し......詩織さんついにやっちゃいましたね(汗)
ZEEK :技術屋なら一度は言ってみたい憧れの言葉さ!!!
茉莉慧  :それにしても......時間かかりましたね
ZEEK :そ...........それは
葵    :CGも描いてなかったわね.......
ZEEK :あの........その............
茉莉慧  :あらら......大丈夫ですか??
詩織   :ゲームもほどほどにですわ
ZEEK :あう(><)
三人娘  :ってことで次回もやってやるぜ!!!
ZEEK :はう(><)




続く?