<”陸奥”宙戦艦橋>
「はははは....見事だよ奈々君」
身動きのとれなくなった第四艦隊の様子に竹崎提督は自嘲気味に呟いた
「司令!暗号電文です!」
「読め!」タイミングの良い電文......たぶん降伏勧告であろうと思った竹崎提督は半分投げやりに読み上げるのを促した。
「はっ!...<我、御召艦”大和”第四艦隊司令艦及ビ各戦艦ハ単横陣ニテ待機セヨ>以上です!。」
「なにぃ??御召艦だと!!!!!」
御召艦....観艦式に天皇が座乗する艦のことをさす.....つまり錦の御旗は相手側にあったのだ。
.....情報管制で相手の事情がよくわかっていなかったのは第四艦隊も同じであった。



































少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第弐拾七話”戦場の艦艦式”


<大和艦橋>
「第四艦隊単横陣を取りました。」
「第四艦隊全艦より機関停止信号を受信。」
楠香と茉莉慧の報告が艦橋に響いた。
「今回も....何とか犠牲を出さずに済みましたね。」
「今後もそうありたいものですな...。」
「まったくです......微速前進、艦載機隊を露払いに第四艦隊と合流します。」
奈々はZeekとほっとしたように話し..奈々は次に出すべき命令を下した。
「司令.....反物質搭載機雷の処理はどうしますか?」
「マザー機雷を除き安全圏へ誘導後自爆させて下さい・・・通常機雷の処理は掃宙艇にまかせて置いて下さい。」
                        
<陸奥艦橋>
陸奥からの眺めはまるで観艦式に参列したかのようであった。
先行し回廊を形作る駆逐艦、その間をまるで儀仗兵の如く警護する最新鋭MT。
そしてその回廊をしずしずと進む白銀の巨大な大和。

「まさに威風堂々・・・・だな・・・・・・・・。」
艦橋に詰める全員の意見を代表するかのように竹崎提督は呟いた。
「しかし本星からは皇室の継承宣言報告は.「貴様が司令官だったとして..このことを我が軍に公表するか??」」
参謀の一人が罠ではないかと疑念を口にしようとするが竹崎提督に遮られた。
「いえ・・・・私なら最後まで秘匿します。」「そういうことだ.....それにあの艦に少なくとも皇太子殿下が座乗なさっているのは間違いないことだからな。」
「提督・・・今は陛下ですよ。」「それもそうだな」
艦橋に笑いがあふれる.......やはりこの艦隊にはシリアスは無理なようだ。
「通信回線・・・・開きます。」
メインスクリーンには正装の和仁が現れる。
「竹崎・・・・久しいな。」「はっ..殿..陛下もお変わりなく。」
「殿下でよいどのみち正式な即位は帝都を取り戻した後だ.....先陣は任せる頼んだぞ。」「はっ!身命に変えまして役目を果たしてごらんにいれます。」
「詳しくは霧島と討議せよ」「御意」

その時艦隊から離れた場所でいくつもの花火が上がる.....大きな花火は数えるくらいしかない。そして気が付けば回廊を封鎖していた機雷のほとんどが消え失せている。
それを見た竹崎提督は馬鹿笑いを始め呟いた...「こりゃ一杯食わされた」と....。

「提督....霧島提督から通信です。」
「司令官公室につなげてくれ....私は一旦部屋に戻るよ...後を頼む。」
全員がはじかれたように敬礼し竹崎提督はそれに返礼すると艦橋を後にした。

<陸奥 司令官公室>
公室のモニターに奈々が映るのは竹崎提督が席に座るのとほぼ同時だった。
「叔父様!!!どうしてこんな事をしたんですか!!」
奈々にしては珍しく詰問調の出だしで会談は始まった。
「久しぶりだな・・・奈々君」「え?ええ....ご無沙汰しております。.って話を逸らさないで下さい。」
奈々は可愛く拗ねると竹崎に苦笑が浮かぶ
「すまんすまん・・・・・・理由は簡単だ.どんな状況下であれ陛下と国民を守るのが軍人のつとめだからな。」
「つまり..........アマテラスでも情報操作及び情報規制がかかっているのですね。」
奈々の目がすっときついものになる。
「”でも”?」「ええ....味方同士の同士討ちしかも第4艦隊と戦えなんて兵達にいえますか??。」
「はははっ・・・もっともだ・・・・しかし君にも桜小路君にも一杯食わされたよ・・・」「それはお互い様です・・・・はじめから戦う機なんて無かったんですよね?」
「バレバレか」「叔父様の考えそうなことぐらい判ります。」

<飛鳥・防空司令部司令室>
「大佐....」「第4艦隊が敗退したか..いや表返ったと言うべきか??」「はい。」
桜小路公人大佐は副長の月守悠華大尉から報告を受けていた。
「全部隊に通達......来襲する艦隊を迎撃せよ.....とな......。」
「了解しました。」「月守君.....。」「はい」「勝てるとおもうかい?」「勝敗は時の運です...。」「そうだな....。」「はい」
司令室から退室した悠華はそっと嘆息した。「大佐は変わられてしまった......。葵....貴女ならどうするの?」
悠華はここにいない同期生でありライバルに人知れず問いかけていた.....。

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あとがき
茉莉慧  :弐拾七話です
葵    :あら?少佐は???
詩織   :置手紙がありますわ......
葵    :何々....旅に出ます..探さないで下さい??
茉莉慧  :え?どうしましょうコミケの原稿が溜まってますよ
詩織   :捕まえるしか....ありませんわね





続く?