<大和艦橋>
「モニターに惑星アマテラスを確認」
茉莉慧の報告と共にメインスクリーンに惑星アマテラスが映し出される。
「帰ってきましたね。」「はい。」
感無量という感じで奈々がZEEKに語りかける
「出発した時とはだいぶ状況が違いますが、着実に前進していますね..。」
「お父上の...霧島閣下の御遺志通り....ですな。」「ええ...そして私の今の意志でもあります。.....それにしても派手な演出を考えましたね....陛下はあまり乗り気ではありませんでしたよ?」
「しかし効果は絶大です。これで幾分か流れる血の量が減るかと思われます。」
「そうですね・・・・・そう願いたいものです。」
そういいつつ奈々は再びアマテラスを見つめた。
少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第弐拾九話”アマテラス攻防戦”
<ラグナロク艦橋>
「惑星アマテラスを映像にとらえました!」
ラグナロクの艦橋は一瞬異様な雰囲気に包まれた。
「汎亜細亜聯合の最要衝の一つ惑星アマテラス...か。こんな形とはいえまさかこの目にする日が来るとはな・・・・。」
「そうですね.....侵攻計画はいくつもありましたけど結局、岩戸要塞に阻まれちゃいましたからね。」
「複雑な心境だよ・・・まったく。」
「良いんじゃないですか?軍人としてはともかく、個人的には今の方がずっといいと思います。より平和的な方法で平和のために戦いに来てるんですから。」
複雑な心境のフェサルーン大佐はクリームの意見に耳を傾けた後意味深なニヤリ顔でいった。
「うんうん・・・クリームの意見の割にはずいぶんまともだ。」
「フェサさん・・・酷いです」
むくれるクリーム・・・・一瞬、艦橋内が笑いに包まれた。ひとしきり笑った後フェサルーン大佐は作戦開始を高らかに宣言した。
「諸君.....世界の平和はこの戦いにかかっている!良いな?...総員第一種戦闘配置!全艦砲雷撃用意!」
<アマテラス軌道防空ステーション上部外壁>
公人は防空ステーションの上に仁王立ちしている愛機の中で瞑想していた。
『司令作戦配置完了しました』悠華の報告に静かに目を開いた公人は感慨深く呟いた。
「いよいよ決戦だな。」『はい』『桜小路君・・・こちらの準備も終了している。いつでもOKだ』
「博士、お手数をかけます。」『いや・・かまわん・・・存分にやってくれたまえ』
頷いた公人が配下の将兵に訓辞をしようとした瞬間敵艦隊に変化が現れた。
『『「「殿下?」」』』
艦隊の前に巨大な和仁のホログラフが現れたのだ、もちろん同様の映像が各ネットワークを通じてアマテラス全土にもながされた。
『余は飛鳥皇国第1000代天皇 和仁である。皇室典範の特別条項に基づき仮即位に至った。反乱軍将兵に告ぐ即時武装解除し降伏せよ。繰り返す即時武装解除し降伏せよ!これは勅命である!!!』
「しまった.....完全に先手を取られた殿下の気性から考えてあり得ないと思っていたが...霧島か?否違うな...zeekあたりの策動だろうな....」
公人は、おそれていた最悪の事態に舌打ちをしたが展開中の部隊には同様が見られないことにもまた安心もしていた...そして公人は静かに宣言をした。
「全部隊・・・作戦開始!!」
<少し前、大和格納庫>
「良いこと?私の可愛い貴方達、敵は強敵本星防空隊、でも練度なら私達は決して引けを取らないわ..大丈夫私の鍛え上げた貴方達なら生き残れるわ....そして敵将との決着は私がつける。貴方達は小隊単位で行動し訓練通りに戦いなさい。良いわね?各機発進!!」
葵の訓辞にパイロット達は気を引き締め発進を開始した。
<大和電算室>
「ふふふふふふ....甘いですわ。甘すぎますわ....人海戦術などで私達の防壁を越えられると思っていたのですか??..先生」
ここでは詩織と美華が残像が見えるほどの指裁きでハッキングしてきている反乱軍側へ対応をしていた。
「そうです!私と先輩が組んでるんです!128カ所からの同時ハッキング程度でどうにかなるはずがありません!!」
「ふふふ...その意気ですわよ美華ちゃん」「はい先輩!!!」「ミコちゃんも鈴ちゃんもお願いしますわね♪」
「「解りました(解ったよ)石原博士(詩織お姉ちゃん)」」
<陸奥艦橋>
「全艦艦載機部隊突入後敵哨戒艦・・及び防空ステーション制圧戦にかかる。全艦作戦開始!!」
竹崎提督の命令の元、旧第4艦隊は突入を開始した・・・・が
「戦艦 "山城" 大破!」「戦艦 "扶桑"
轟沈!!」「重巡 "最上"より入電”我操舵不能・我操舵不能”」「軽巡"阿賀野"
爆沈!」「駆逐艦 "浜風" 通信途絶!」「駆逐艦
"浦風" サヨナラを繰り返しています!」
突然の謎の爆発で艦隊の大半が行動不能に陥っていた。
「な・・・何が起こったのだ?」
<公人機>
「ふっ......空間転移型のミサイルはこうやって使うんだよ。」
『公人!いい加減にしなさい!!!』
呟いた公人機に葵から通信が入る。
「葵か.....今やめるわけにはいかんよ」
『私が頼んでも?』
「ああ」
『そう......』
葵の通信に動じることなく公人は作戦を次の段階に移した。
「ふっ....全機第2作戦プランA作戦開始!」
『今そっちに行くからそこで待ってなさい!』
公人は通信を切った後そっと呟いた。
「早く来いよ....葵」
<葵機>
『葵姉さん........』
「解ってるわ....もしもの時はお願いね。」
『はい......』
公人との通信が終わるのと同時に茉莉慧からの通信が開く
お互い取り決めていたのだろう....2,3言葉を交わすと通信を閉じた。
<惑星アマテラス衛星軌道>
竹崎艦隊は初撃で半数を失ったが健在。そこに大和、ラグナロクが戦線に突入したため討伐軍側にさしたる混乱は無かったが空間転移型ミサイルに対する用心から戦況は膠着状態に陥ったが艦載機隊の攻防は熾烈を極めた。
防空隊所属機1024機、制圧艦隊所属機640機
劣勢と思われた制圧艦隊艦載機隊であったが練度で互角、さらに新編成(通常3機で1個小隊を編成するが葵は4機1小隊とし変形菱形陣を基本戦術とした)、艦載機隊が守るべき艦隊は「いっちゃえ〜〜〜」「そこ、制御いただきますね」ミコ、鈴の活躍により接近した敵機を無力化していたため艦隊の防衛を考えなくてもよく守るものがある分防衛側が不利であった。
乱戦の中、葵は一陣の風の如く一気に防空ステーション近くまで駆け抜けた。
「隊長!待って下さ〜〜い」「先輩!早すぎます!」「近衛隊長〜〜〜おいてかないでくださ〜〜い(^^;;」
付き従うは綾、飛鈴、美都里の3人娘.....。
「邪魔よ!」ザシュ!!!っと防衛にあたっていたMT2機を抜刀一閃真っ二つにしステーションにとりつくことに成功する。
「「「隊長(先輩)やるぅ〜〜〜♪」」」
飛鈴達も敵機を撃墜しつつとりついた。
「待っていましたよ・・・葵」「........悠華......」「解ってます.邪魔はしません....貴女の思うとおりに....」「感謝するわ」
葵は先に進んだ....公人の元へと.....
「貴女達の相手は.私が致しましょう..来なさい」「月守先輩....。」「月守って.....あの”斬艦の悠華”こと月守悠華中尉ですか??」「”斬艦の悠華”ってたしか隊長と戦場で敵艦の切り倒し比べをしたって言う??」
悠華の登場に3人娘の顔に縦線が入る、そして悠華はこう曰わった。
「大丈夫です・・・痛くしませんから♪」「「「いやぁぁぁぁぁ」」」
<公人機>
「来たか・・・・・葵」「もう・・・・止めなさいよ」「大儀の為だ!」「....馬鹿...」
次の瞬間二人のMTは一気に最高速まで加速する.....。「馬鹿!!!!馬鹿馬鹿馬鹿!!私の気持ちなんてこれっぽっちも考えないで!!!」「男にはやらなきゃ行けない事が有るんだよ!!」
ザシュ!ギィィン!白刃が何度も飛び交う・・・その壮絶さに周りの戦闘が止む...
「貴方はいつもそうよ!勝手に暴走して!勝手にへこんで!」「何時の話だよ!」「いつもよ!」「何時までも昔の俺じゃない!!!」公人の刃が葵機の右足をとらえた....限界値まで出力を絞り出していた右脚が小さく爆発し葵機は左方向に吹き飛んだ「きゃっ!..でもまだよ!!!!」
爆発の勢いを利用して切り返した葵機は公人機の左腕を切り落とす。
「腕鈍ったんじゃない??」「お前こそ!!」
激しい攻撃の応酬の中二人の口げんかは続く........。
「ねぇ....綾」「なんです?飛鈴隊長.....」「オープン回線に凄く恥ずかしい会話が飛び交ってるような気がするんだけど。」「隊長もそう思いますか??」「美都里もそう思う訳ね・・・・。」「二人とも・・・相変わらず恥ずかしいです・・・。」
悠華は目眩を感じながら少し安心していた...少なくとも今の公人は自分のよく知る公人なのだから....そして3人娘は呆れていた....特に飛鈴は何年後に明かされる真実というのを知った....どうでも良いけど葵君・・へっぽこだぞ(笑)
<30分後>
「「はぁ・・はぁ・・・はぁはぁ・・・・」」二人は肩で息をしながら対峙していた.....お互いに動きが鈍っている.....その時,今まで沈黙を守っていたアマテラス防空の要”反射衛星砲”が突如として煌めいた...目標は公人と葵が対峙している宙域。
「葵!!!!」「えっ?」光が到達する直前 葵機は公人機に突き飛ばされて光の外にいた。
『愛してるぜ..葵』この通信と共に公人機は光の中に......消えた
「い...嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
そして葵の絶叫が宇宙に木霊した。
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あとがき
茉莉慧 :弐拾九話です
葵 :公人...なおとぉ(泣)
茉莉慧 :なんか葵姉さん集中攻撃ですね
詩織 :少佐は??
茉莉慧 :また置手紙が.........
詩織 :なになに?ジ〜ク・ヤ〜パン?
茉莉慧 :日本チームの皆さん決勝進出おめでとうございます♪
葵 :なおとぉ....................(泣)
続く? |