<岩戸要塞司令部式典ホール>
ここ岩戸要塞では平和維持艦隊エンジェリックフリートの結成式典がもようされていた。
「.................でありますから我が艦隊は帝国、聯合共に手を携えて平和への一歩を築く礎となるのです。故に諸君らに架せられた責任は重大であり諸君ら一人一人が平和への尖兵であると同時に各陣営を代表する事を十分に肝に銘じていただきたくおもいます。長々と話しましたが最後に平和への一歩は記されたのです、この灯火を消さないよう諸君らのたゆまぬ努力を期待します。」
奈々の長々とした演説にもかかわらず兵達の顔は明るい。自分達が平和を維持すると言うフレーズが琴線に触れたらしく大歓声で奈々の演説は終了した。
「お疲れ様..奈々さん」
演説を終え舞台袖に下がってきた奈々を待っていたのはクレアと和仁であった。
「私...こう言うのには向いていません....殿下やクレアさんがやるべきではなかったのですか??」
「とはいえこう言うのは司令官の職務だからね......やれたじゃないか」
「殿下ぁ〜〜〜〜。」
舞台裏では奈々をからかうクレアと和仁が居たと言うのは兵達には見せられない秘密であった(笑)




































少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第参拾壱話 ”そして再開幕”


<士官用カフェ”Leciel”>
茉莉慧はウィンドウに映る宇宙空間をぼ〜〜〜っと眺めながらそっとため息をついた。
「ま〜り〜えちゃん♪な〜〜〜にため息ついてるのかな?」「お姉さま.......」
振り返るとそこにはLecielの看板娘でウェイトレスの春日 恵美(かすがめぐみ)嬢が紅茶とケーキのセットを2つもって立っていた。
「暗いぞぉ〜〜〜もぅ仕方ないなぁこの恵美さんが相談に乗ってあげようじゃないの♪....あっ紅茶とケーキは勿論瓶のオ・ゴ・リ♪気にしないでねん♪」「そりゃないよぉ〜〜めぐぴん」
あんまりな発言に後ろのほうで店長の瓶 光海(びん みつみ(男性))氏の情けなさげな声が聞こえる.......が恵美はその声を無視して続ける
「馬鹿はほっといていいからさ♪」「くすっ」「やっと笑ったね♪」
「ありがとうございます..お姉さま..でも.....もう大丈夫です」
「そっ......ならとりあえずお茶だけでもしましょ♪これ・・もったいないから♪」「はいっ♪」
ともかくこのLecielはこのきっぷのよい恵美嬢を"お姉さま”と呼び慕う女性兵士の憩いの場でもあった。(そのほかメニューが手ごろな値段で美味しいとか壁面に宇宙空間を写すモニター(Dr石原謹製)を配し大宇宙を望みながらお茶をするのがオツなのだそうだ)

<岩戸要塞第一宇宙港>
「澪........あんまり葵に迷惑かけちゃだめですよ???」
「ぱぎゅ〜〜〜お姉ちゃん澪をあんまり子ども扱いしないでよぉ〜〜」
ここ宇宙港では新任の文官として赴任してきた月守澪三等書記官が澪の姉、月守悠華大尉を近衛葵少佐と共に見送りに来ていた。
「澪ちゃん.......そうしてると十分子供っぽいわ....。」
「ぱぎゅ〜〜〜〜葵さんまで.....酷いです!!」
「あは...あはははははは.......それはともかく悠華...たまにはこっちに遊びに来なさいよ?どーせ向こうで娯楽なんか無いんだから。」
「私じゃなくて.....大佐に来て欲しいんでしょ??少佐殿?」
「そっ......それは........」
返す言葉に詰まる葵はそのまま真っ赤になってもじもじとしてしまった。
「あ〜〜〜葵さん真っ赤だ♪」「ホント......大差のこととなるとわかりやすいわね。」
『イグナス監視基地行き特別便搭乗士官は急ぎエアゲートを通過してください』
「じゃあ......元気でね」「葵も」
悠華は手を振りながらエアゲートを通過していった。
悠華に限らず先の反乱にかかわったものは辺境の監視基地へ左遷されることが決まった
恩赦で極刑は免れたとはいえ反乱勢力を中央においておくほど軍は甘くはなかったと言うことである。
公人と悠華も岩戸要塞に程近いイグナス監視基地に配置転換となっていた......しかし葵や澪も近くにおりこれが本当に左遷なのかどうかは疑問点が残るが....。

<岩戸要塞司令長官室>
「これで・・・・・・・本当によかったのでしょうか・・・・・・・。」
奈々は自分の執務机で悩んでいた。
和平交渉を成立させ平和を掴んだ・・・・・・それはいい・・・・しかしそれによって
新たな火種を生んでしまったのではないか.....現に飛鳥皇国では反乱が起こった。
今後そういった事例を一つ一つ力で押しつぶす.......果たしてそれが平和への道と言えるのであろうか??........しかしすべては走り出してしまったのだ。今更止めるわけにはいかない。
しかしそれについて明確な答えを出してくれる人物は居ない..............。

<暗黒の玉座>
ここではブルリュンヒルトが老人......元老院議長より報告を受けていた。
「すでに手は打ってございます........まもなく芽が出ます......動乱の芽が。」
「ふふ.......楽しみにしておりますよ?」
「されとて......かのエンジェリックフリートが邪魔にならねばよいのですが........。」
「我々にとっての悪しき芽であるなら早めに摘み取りなさい」
「はっ........ヒルデ様の御意のままに.......。」
老人は一礼すると静かに消えた........ホログラムだったようだ。
「動乱の芽.......か......どう楽しませてくれるかしら?霧島奈々....そしてクレリア・フォン・ランドルフ.........。」
クスッと笑ったブリュンヒルト....いやヒルデは仮面をつけているにもかかわらず美しかった......。


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あとがき
ZEEK :参拾壱話です
茉莉慧  :新シリーズですね♪
ZEEK :なんか期待してくれてる人が大勢居るんで頑張ってみることにしたよ
茉莉慧  :澪さ〜〜〜んやっと登場ですよ〜〜〜♪
ZEEK :次回からどうなることやら(ニヤリ)
茉莉慧  :いやな笑いですね......
ZEEK :ってことで次回もやってやるぜ!!!(シュタッ)





続く?