<士官用カフェ”Leciel”>
画面とはいえ宇宙を一望できるカフェで茉莉慧は恵美に愚痴を言っていた。
「義兄様ったら酷いんですよ・・・・葵姉さんほっぽって・・・・・。」
「あは..あはははは...近衛少佐も大変ねぇ....」
茉莉慧の勢いに恵美もたじたじである....しかし突然入ってきた人物によりその雰囲気は一掃される。
「お姉様ずるいです!!私もケーキ食べたいです!!」
「「く・・・クリームちゃん(さん)(^^;;」」
さすがに二人もたじたじであった.....が。
「ほらよ...クリームちゃん...ケーキセットだ。」
「わぁ瓶さんいいんですか??」
ケーキセットを受け取りながらクリームが聞き返したが返事はいつもの通りだった。
「大丈夫♪お代はめぐぴんの給料からひいとくから♪」
恵美の「なんですってぇ!!」と言う叫びと共に瓶はニヤリと意地悪に笑った。
どうでも良いけど...この店..経営は大丈夫なのか??(汗)
「「うっさい!!」」
少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第参拾弐話 ”黄昏の鼓動(前編)”
<士官用カフェ”Leciel”5分後>
3人は行き渡ったケーキと紅茶で談笑中である...止めどもない話をしていたが不意に茉莉慧がクリ−ムに質問を投げかけた。
「そういえばクリームさんと鈴ちゃんってもう何年のつきあいなんですか??」
「む??」
急と言えば急な質問にクリームは口に入れたケーキを刺していたフォークをくわえたまま茉莉慧の方をきょとんとした顔で見直した。
「いえ.....”大和”と違って”ラグナロクって3年前には既に実戦習熟配備されてたんですよね.....鈴ちゃんとは一体どんな出会いだったんだろうって....。」
「そういえば...茉莉慧さんっていきなり実戦だったんですよね....私の方も唐突でしたよ(^^;;」
過去をふりかえり...クリームは苦笑しながら返した。
「私も聴きたいなぁ〜〜あっ軍機なのかな??」
恵美も興味津々と言った風でクリームの方を見つめた。
「クスッ...そんなこと無いんですけど....面白くないかもしれませんよ??」
「「聴きたいなぁ(ですぅ)」」
もったいぶるクリームに二人は揃っておねだりポ〜ズであった。
「そうですね.....私が鈴ちゃんが出会ったのはまさに偶然でした...もう6年も前になるんですね...もっと昔のことのように感じます。」
<6年前 惑星オーディン”キール造艦工廠”第7ドック>
「これですか.....シュワルツメーア(黒き海)より引き上げられた謎の戦艦は....。」
「左様でございます殿下。計測の結果6000年はシュワルツメーアに沈んでいた模様です外見は貝や牡蠣などが付着しておりますが中は一切劣化が見られません恐るべき技術力と言えましょう。」
クレアはクリームを伴って惑星オーディンの海底より見つかった超大型艦の視察に来ていた。
「それならどうして起動できないのですか??」
「はぁ...それは艦中央にブラックボックスとも言える侵入不可能な領域が存在いたしまして...その領域への侵入が果たせない為であります。」
「帝国の頭脳と詠われたクルト・バウワー博士がだめなら・・・他の何人も無理でしょうね。」
「申し訳ございませんこの巨大な..機動要塞とも言うべき巨艦は重要区画のほとんどをその中枢区画より集中制御しておるようでして..。」
白髪のバウワー博士がクレアに対し技術的な報告まで始めたときクレアの横でクリームがぼそぼそと話しかけた。
「クレア様...私ここについて来ちゃって良かったんでしょうか??ちんぷんかんぷんですぅ」
「大丈夫よ珍しい物を見物しに来たと思ってその辺でも見てなさい」
おそるおそる言うクリームにクレアは優しく語りかけた。
「でも...艦内の環境が生きてるように私には感じますが??」
「おっしゃるとおりです。この艦はサブシステムが生きておりメインコンピュータはダウンしているものの生命維持機能が生きております。艦内を移動する程度でしたら支障はございません。」
<発掘艦艦橋??>
そうこう話しているうちに3人は大きなフロアに出た。
「ここが本艦の艦橋と思われる区画でございます。」
バウワー博士が自信なさげに説明をした。
「思われる??」
「はぁ....私は古い宇宙戦艦の艦橋という物は意味不明なメーターがいっぱいあり謎の羅針盤や舵・・・用途不明のレバーが多数存在し無意味に広い物と信じておりました・・。」
「博士・・・それは違うと思いますよ・・・。」
残念そうに言うバウワー博士にたいしクレアがたら〜りと汗をかきながら答えた。
「それにしても広い空間ですね。」「クレア様..なんか所々光ってるコンソールがありますよ。」
気を取り直し周りを一望するクレアにクリームが興味津々と物珍しげに周りを見回しなぜか鼓動のように点滅するいくつかのコンソールを見つけて報告した。
「きゃん」
「なんじゃと!!!!ノノノノノノノノイエ君!!!それはどこかね!!!」
それを聞いたバウワー博士は目をくわっと見開きクリームに迫った。
もちろん間にいたクレアは吹っ飛ばされた....。
「ったたたた....博士...何をするんですか。」
吹っ飛ばされてしりもちを付いたクレアが見た物はバウワー博士に肩をガクガク揺すられて目を回している哀れなクリームの姿であった。
「答えてくれ!!!答えるんだ!!」
「はうぅぅぅぅぅぅあ・・・あれですぅぅ」
クリームの指した先には確かに点滅するコンソールがあった。
クレア達そっちのけで熱心に調査をしていたバウワー博士はふっと振り返るとこうのたもうた。
「ノイエ君・・・君このコンソールに触れてみてくれたまえ。」
「はい??....危険は...無いんですよね??」
唐突な話で目が点になったクリームは数秒後おそるおそる博士に聞き返した。
「危険はないじゃろう...たぶん。」
「たぶんって...(汗)」「さあやりたまえ!!!」「は...はい」
博士の迫力に負けたクリームはやけっぱちになってコンソールに触れた....すると...。
ピッ...ポワワワワワワワン
クリームの触れた端末から順に周りの端末に火が入り徐々に艦橋を照らしてゆく。最後に艦橋前方に3Dモニタが浮かび上がった...もちろん博士は狂喜乱舞したのは言うまでもない。
しばらく後メインモニタに映し出されたのは布団から寝ぼけ眼をこすりながらむくっと起きあがった少女の姿であった。
少女は3人を認めると『ふみゅぅ〜〜おはようございますぅ〜〜』と頭を下げながらの挨拶をした。
=================================
あとがき
ZEEK :参拾弐話です・・長くなっちゃったんで前後編です(笑)
茉莉慧 :今語られるクリームさんと鈴ちゃんの過去♪
ZEEK :怪しい科学者がまた増えてしまった・・・・・奴もマッドなんだろうか(苦笑)
茉莉慧 :久々の鈴ちゃんの登場ですね
ZEEK :後編はどうなることやら(ニヤリ)
茉莉慧 :いやな笑いですね......
ZEEK :ってことで次回もやってやるぜ!!!(シュタッ)
続く? |