<岩戸要塞第1宇宙港>
活気に満ちた宇宙港に一隻の双胴艦が入港しようとしていた。
帝国軍が誇る”高速重強襲揚陸母艦ダイダロスU”である。
その艦橋では司令官と艦長が入港の手続きをおこないつつ感慨にふけっていた。
「司令・・・・やってきましたね。」「ああ........。」
大佐の階級章をつけた司令官は腕を組みながら険しい目で岩戸要塞を睨んでいた。
「よろしいのですか??」「良い訳が無い....しかし勅命には逆らえん。」
「では......。」「ああ.......手筈通りに頼む。」「はっ」



















少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第参拾四話”銀の騎士”

<士官用カフェ”Leciel”>
「............と言う訳で私は”ラグナロク”付きを命ぜられて練成任務に就いたんです。」
苦笑交じりに懐古するクリームに対し茉莉慧と恵美はタダ苦笑するのみであった。
「「......................................(汗)」」
「あの後大変だったんですよ.....軍港近くの町から生臭いとか洗濯物が土塗れだとか。」
「「そういう問題じゃないと思うんだ(です)けど.....。」」
「や・・やっぱりそう思います??」
「「ええ(はい)(汗)」」
気まずい雰囲気が流れる所を救ったのは瓶の一言であった。
「クリームちゃん、茉莉慧ちゃん・・・呼び出しだよ!霧島司令が呼びだそうだよ」
「「あ...はい!了解です!!」」
思わず起立敬礼してしまう二人であった。

<岩戸要塞司令長官公室>
「神聖銀河帝国機動軍第一騎士団長アーダルベルト・フォン・ノイエ大佐であります。エンジェリックフリート支援艦隊司令を拝命し揮下の一個師団共々ただいま着任しました。」
「司令の霧島です。着任を歓迎いたしますわ。」
ノイエ大佐の着任は穏やかな雰囲気の中進められていた。
「恐縮です。時に霧島司令.......。」「なんでしょう?」
その時である。
「近衛少佐、入ります!」「ノイエ中尉入ります!」「桜小路中尉入ります!」
ノイエ大佐が何か話そうとした時に3人の女性が入室した。
「「「司令.....お呼びでしょうか?」」」
振り返ったノイエ大佐は見知った2人の女性に対し少し面を食らったようだがすぐに元の表情に戻った。
「銀の......騎士」「ふっ.......蒼き稲妻か」
「あら.......お二人は知り合いなのですね...紹介します。支援艦隊司令として今回着任したアーダルベルト・フォン・ノイエ大佐です。」「ノイエだ.....宜しく頼む」
「司令!!この男は危険です!!」「近衛少佐?上官侮辱だぞ??」
「くっ!!....失礼しました!航空参謀近衛葵少佐です。ふんっ」
「え...えっと大和情報処理士官の桜小路茉莉慧中尉です」
挨拶後不機嫌にそっぽを向いた葵に戸惑いながら茉莉慧もおずおずと挨拶をする。
「桜小路??.....黒龍の??」「はい...妹です。兄をご存知なのですか??」
「奴とは戦場で何度も...な」
茉莉慧の問いにノイエ大佐は遠い目をしながら応えた。
(はぁ........それで葵姉さん...)
「アーダルお兄様???」「クリームか....久しぶりだな..見違えたぞ?」
「「お兄様???」」
クリームにノイエ大佐は微笑みで応えた・・・無論知らなかった二人は驚いたが。
「ああ......知らなかったんですねクリーム中尉とノイエ大佐は兄妹なんですよ..確か末の妹さんなんだそうです。」
「そうなんですか...。兄妹で同じ職場なんてステキですね」「ええ」
茉莉慧は少しだけうらやましそうな顔をするとクリームに微笑みかけ。クリームも微笑み返し司令室にほのぼのとした空気が流れ始めたが、ノイエ大佐の一言で司令室に緊張が走った。
「それでは司令、失礼させていただきます....が最後に一言だけ。」「何でしょう?」
「小官は今回の和平には反対でした。そしてこのような偽善的平和維持艦隊の設立には現在も反対です。.....しかし勅命とあらば従わざる終えません...場合によっては妨害もありうるということをお忘れなく。」
「銀の騎士!!!貴方!!!」「貴様一人でどうにかなると思うか??蒼き稲妻??この要塞程度我が師団だけで制圧はたやすいぞ??」「なんですって??」
司令室に緊迫した雰囲気が流れる鬼気が走り司令室内はさながら静かな暴風圏内であったが....その雰囲気を解いたのは茉莉慧であった。
「ノイエ大佐!では貴方は無用に血が流れてしまうのがいいと言うのですか??血は血を呼び悲劇を繰り返すだけだと言うのに!!!」
(ほう.....この鬼気の中で威勢が張れるとは.....さすがは黒龍の妹か......)
ノイエ大佐は感心しつつニヤリと笑っている自分に気がついた。
「フロイライン.....もう一度お名前を聞かせていただけないか??」
「茉莉慧.....桜小路茉莉慧です。」「茉莉慧さんか......その名しかと刻ませていただきました。今後ともよしなに」「は...はい!」
ノイエ大佐は茉莉慧に恭しく礼をすると司令室から立ち去ろうとしたが。入り口に腕を組みながらもたれている男に気が付き立ち止まった。

「ノイエ大佐。1個師団だけでこの要塞を落とすとは..聞き捨てなりませんな??」
「貴官は??」
男は大仰に敬礼をすると名乗った。
「失礼しました!小官は艦隊参謀長兼旗艦艦長を勤めさせていただいておりますZEEK中佐であります。」
「帝国第一騎士団を相手に大層な自信だな?」「大佐こそ難攻不落の岩戸要塞を相手にたいした自信ですな?...もっともダイダロスUではこの要塞の外壁に辿りすく事は・・・出来ますまい??」
再び睨み合いになるかと思ったその時それを破ったのは今度は奈々であった。
「ではこうしましょう.....ノイエ大佐....演習軍の襲撃軍の指揮を取りなさい。」「ハッ!」
ノイエ大佐が直立不動の敬礼を返す。
「防衛側の指揮は...ZEEKさん貴方が取りなさい。」「了解です」
ZEEKはニヤリと笑いながら礼を返す。
「演習は帝国軍と連盟軍に別れてやっていただきます。尚それぞれの旗艦は大和とラグナロクとします。.....演習名は”ラインの演習”とします。日時はおって命令します。総員準備に取り掛かってください。」
「「「「「はっ!!」」」」」
全員が敬礼し作戦準備開始が下命された........果たしてどうなるのであろうか。結末を知るものはまだいない。

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あとがき
ZEEK :参拾四話です
茉莉慧  :ノイエ大佐ってニヒルでカッコイイですよね♪
葵    :でもなんかこれじゃ私が悪者みたいに見えるわ!!
詩織   :そのうえ名前を刻むって......某アルター使いみたいですわ
葵    :そういえばそうね....それにその後の少佐なんてまるで某最速の人みたいだし
茉莉慧  :それにしてもどうなるんでしょうね...今後
詩織   :それは読者様の反応次第ですわ(ニヤリ)
ZEEK :や...やば....ってことで次回もやってやるぜ!!!(シュタッ)











続く?