<岩戸要塞大会議室>
最初に発言をしたのは平賀博士であった。
「飛鳥皇国艦政本部の平賀です。今回の新型戦艦に対して私の私案がありますので持参いたしました。討議の参考資料に加えていただけたら幸いです。」
この発言に対して両陣営の反応はさまざまであった。
まず汎亜細亜聯合側は”ああ・・・・また始まった”とあきらめモード、大して銀河帝国側の反応は様々であったが大分して2つあった。
一つは”さすがに飛鳥皇国の筆頭造艦技師だ・・・・私案ながらすでに案件をまとめているとは・・・。”
という反応、そしてもう一つは・・・・・。
「ふん・・・・・亜細亜聯合の連中はよほど暇と見える。」「何じゃと!!!では貴殿はどうなのだ!バウワー博士」
「小生は卿と違い普段別任務に忙殺されておるからな・・・・ただし殿下の旗艦の代艦はすでに案件として提出されておる、これは平賀博士の案件と違いれっきとしたプロジェクトだ、私案のようなちゃちな案件と一緒にしないでいただきたい。」
「なにをいうか!!」
のっけから一触即発の様相を呈した会議であったがそれを制したのは奈々であった。
「平賀・バウワー両博士・・・・討議は結構ですがここは両陣営が協力して計画するための会議の場です、無意味な争いはご遠慮いただきたく思います。」
「「申し訳ありません。司令」」


















少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第四拾弐話”波乱の会議(前編)”

<引き続き会議室>
「ともかく、亜細亜聯合の試案、平賀博士の試案、帝国側の試案の3案を討議対象としたく追いもいます、月守さん、3案を中央パネルへ投影してください。」
「はい閣下了解ですぅ。」
奈々は澪に指示をし会議室中央に3案の戦艦を立体映像で投影した・・・・・そしてそれぞれの戦艦は特徴的かつ壮麗な戦艦であり両陣営から感嘆がもれた。
帝国側の戦艦は純白の三角錐型の船体に砲塔と艦橋を並べた地球中世に欧州にあったとされる白亜の城を思わせる流麗な形をしていた。これについてはバウワー博士が説明を行った。
「本艦の開発名称はブリュンヒルデ、北欧神話に出てくる白きワルキューレの名を頂く高速戦艦です。本艦の特徴は2つ、一つはこの白い装甲版ですが新型の耐熱耐圧仕様の電磁反射板で構成されており。大出力のレーザーを跳ね返すだけでなく大口径の実体弾にも耐えうる仕様となっております。もう一つは新型の重イオン機関を採用しており、試算では最大速力は40宇宙Ktを超える事が可能です。」「重イオン機関?」「左様........この新型機関のおかげで従来の推進機関より推進効率は30%ほどUPしましてな...。」種子島博士の疑問にワルター博士が答える....。「それは興味深い..ぜひともデータをお見せ願いませんか?」「かまいませんぞ....じっくりご検討ください。」「.......あのぉ...次の艦の説明移っていただいてよいですか?」「「あ...ああ、すまん月守君」」
続いて聯合側の案件について説明がなされた、聯合の試案は前方に2つのカタパルトを持つ白い戦艦で各所に武装が施されているがそれすらもアクセサリーのように見えるほど華麗であった。これについては福田啓二造船少将が説明を行った。
「亜細亜聯合統合艦政本部の福田です。本艦は当初飛鳥皇国天皇座乗用の戦艦として開発が開始された旗艦戦艦であり開発コードは”ペガサス”です、本艦は多用途旗艦装甲空母として開発されましたが戦艦としての機能も一線級を凌ぐ性能を有しております。まず前方カタパルトですが上下に連装16インチ砲を装備しカタパルト基部には大口径粒子砲を装備、またサバイバリティー向上のためにエンジンユニットをブロック化し非常時において切り離しを可能としました、またこれはエンジンを換装することによりより高速な戦艦に改装できることを意味しておりあらゆる戦局での投入を可能とします。」「ふむ......複合船体と豊富なオプションですか.........まるで地球時代のSFですな。」「しかしそのような艦を建造できるまでわれわれの科学は進んだということなのでしょうな。」「しかし着想は面白いですな。」ミッチェル博士の呟きに反応したのは福田少将と共にペガサスの設計にあたった松本大佐であった。
「ここまでくると変形して人型になる時期も近いかもしれませんな」「ランドシップ?それとも超時空要塞??」「..........まさか帝国の方にその突込みをいただくとは...。」「「「「ははははははは」」」」「はぎゅ〜〜〜〜〜ただのヲタク談義になってるですぅ〜〜〜。」澪の突っ込みは厳しかった。
「コホン....小官が説明を行ってもよろしいかな??」「「「どうぞ」」」
最後に平賀博士の私案が発表された、この艦はすでに戦艦といえるかどうかすら怪しい”物体”であった。
「ひ・・・平賀博士・・・これは何かの悪い冗談かね??」
含み笑いを隠さずに言うバウワー博士に対して平賀博士はニヤリと笑うと説明を始めた。
「本艦の開発名称は”リーブリッヒ”見てのとおり武装はおろか推進機構すら外部に露出させて下りませんがれっきとした重装戦艦です。まず武装ですが側面埋め込み式の粒子砲と艦首硬]線レーザー砲、Vセル式の多弾頭ミサイルを装備、実体弾は装備しておりません。また防御ですが、先の帝国側の試案でも発表されましたが電磁コート装甲を利用しておりますがそれはサブ装甲として利用します。」「サブ??ではメイン装甲が存在するというのかね?」「もちろん!!”大和””ラグナロク”で採用されている”リフレクションシールド”を採用を可能としました。また新型の重力機関を利用しており速力は40宇宙ktを可能とします。」
「しかし従来の機関ではそれだけの艦を維持できないのではないかね??」「問題ありませんわ」
平賀博士とバウワー博士の討議に割って入ったのは詩織であった。
「君は?」「申し送れました、私第7艦隊付き科学技官の石原と申します。」「それで心配ないとは?」「はい♪”大和””ラグナロク”の出力には及びませんが”半陽子炉”の複製に成功いたしました。搭載可能ですわ♪」
平賀の余裕はここにあったのだ、愛弟子の一人である詩織から様々な技術のフィードバックがなされているおかげで聯合、帝国に先駆けて数世代先の戦艦を建造可能としたのだ。なおかつ平賀博士はこうの賜った。
「見目麗しきクレリア殿下の座乗する戦艦に無粋な砲塔、艦橋、噴射口など不要ぢゃ!!!そのようなことをしなくとも本艦は十分実践に耐えうるわい!本来旗艦用戦艦なんぞ司令部設備と装甲さえ充分にあればいいんじゃから無駄なことはせんことじゃ!!!」
その発言に参加者一同に衝撃が走った。
「平賀博士・・・・・私の負けのようだ・・・・。」バウワーの一言に周囲は(負けって何だよ)と思ったがそれを口にするものはなかった。
「では・・・採決をとりたいと思います、まず帝国案に賛成の方?」
帝国案に賛成するものは一人もいなかった・・・そう・・・発案者ですら。
「では聯合に賛成の方?」やはり聯合案にもやはり一人もいなかった。
「では平賀博士の私案に賛成の方」これには満場一致であったが代表してバウワー博士がコメントを残した。
「平賀博士の私案は斬新かつ有効であることを認める。これは平賀博士の情報収集能力がわれわれのそれを超えていたことに起因する、細部に煮詰めなくてはならない項目はいくつもあるのも事実であるがわれわれの開発目標とした戦艦の数世代先を行っているのは間違いない。改めて飛鳥皇国の技術力に驚かされるばかりだ。」
この場でにこやかにしているのは平賀博士と詩織だけであった。
「バウワー博士、ご理解感謝いたします。さりとて残り2案も優秀かつ先鋭的であるのは万人が認めるころでしょう・・・どうでしょうか?この後取り決める予定であった共用艦の主力戦艦に帝国案を、支援戦艦に聯合案を採用したく思うのですが?」
「霧島閣下の配慮に感謝いたします。帝国側としては依存はありません。」「聯合としては当初よりそのつもりでありました。」福田博士は平賀博士の行動を予見していたため最初から想定していたようであった為帝国ほど衝撃はなかったようであるが、やはり少し残念そうでもあった。



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あとがき
ZEEK :四拾弐話です
茉莉慧  :豪華な顔ぶれなのにやってる会議の内容が・・・(^^;;
葵     :少佐らしいといえばらしいんだけど(^^;;
ZEEK :登場した博士sが解った人間がさほど居なかったみたいだね
詩織   :次回くらいに巻末おまけでつけるみたいですわ
葵    :つまり次回も会議なわけね(^^;;;
茉莉慧  :まるで某S○○Dの時間かせぎみたいですね.
ZEEK :濃くなるからね..........濃くなるんで
葵    :逃げね.....
詩織   :逃げですわ.....
茉莉慧  :逃げですね(^^;;
ZEEK :チッ 次回からどうなることやら
茉莉慧  :ついでにごまかしてるし.........
ZEEK :ってことで次回もやってやるぜ!!!(シュタッ)
葵    :それはそうと作者は感想に飢えてるらしいわ.....できたら”読んだよ”だけでも言ってあげると助かるわ
茉莉慧 :御意見御感想をお待ちしてます♪









続く?