<岩戸要塞大会議室>
「では次の議題・・・・<ガコン!>」
戦闘艦の会議がひと段落したところで会議室の扉が開き・・・・そこにはコーヒーを載せたトレイを片手ににこやかに会議室に入ってくる恵美がいた。
「お待たせしましたぁ〜Lecielで〜〜す♪珈琲タイムで〜〜す♪」
「めぐぴん・・・・・・やばいって(^^;;」「大丈夫よ瓶♪営業♪営業っと♪」
「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」
「え・・・えっとじゃあ休憩ということで(ぱぎゅ〜〜〜お姉様無茶苦茶ですぅ)」
澪の心の叫びは誰にも聞かれることは無かった。


















少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第四拾参話”波乱の会議(後編)”

<引き続き岩戸要塞大会議室20分後>
艦載機の会議はまず帝国側のタンク博士の発言から始まった
「帝国では艦載機は戦闘艦によって確保された星域を地上、空中、海中に限らず制圧するための空間制圧兵器としての側面が大きくこれに必要なのはバックパックの交換により全ての空間に適用できる汎用性と強力な制圧兵器を運用するプラットホームであるというのが今までの条件でした。これは連盟側の迎撃能力優先主義と対を成す考え方だったと判断します。エンジェリックフリート専用艦載機に必要な能力はその両方を併せ持つ機体でなくてはならないと思います。皆さんの忌憚なき意見を頂きたい。」
「タンク博士に置かれては腹案をお持ちですかな??」
土井技師の質問にタンク博士はニヤリと笑うと澪に指示を出した。
「フロイライン・・・・ファイルB5を開いていただけますかな?」
「は、はいですぅ(ぱぎゅ〜〜なんか照れるですぅ)」
中央モニターに表示されたのは航空機形態から機動兵器形態にトランスフォームするタイプの機体であった。
「TMT(トランスフォーマブルモビルトルーパー)ですか」
「左様・・・・高速で進入する侵攻能力と様々なオプションを使いこなし制圧戦闘を行う制圧能力を併せ持たせるにはこの形態しかありません!またこの機体”スレイプニル”は大型ランチャーを装備しており一撃必殺の侵攻および迎撃をこなせる万能機とすることに成功しました。」
「ううぅ〜〜〜ん」
タンク博士の意見に難色を示したのは聯盟の堀越技師であった。
「堀越技師・・・・何か異論ですか?」
澪の質問に腕組みをしてうなっていた堀越技師はその神経質そうに眼鏡を掛けなおすと立ち上がった。
「TMTの思想自体は間違っておりません、しかしTMTを扱うには高度なOSとパイロットの高い技量が必要です。」
「エンジェリックフリートには石原博士がおりパイロットもノイエ大佐、近衛少佐、をはじめとする優秀なパイロットがそろっており、憂慮すべき事態だとは思えないのですが。」
ハインケル博士の反論に再び堀越技師は反論する。
「個々の能力に問題はないでしょう、問題はトランスフォーム中の隙です・・・・これはばかりはどんなエースパイロットでもゼロにすることはできません。想定敵機が迎撃単能機だった場合この隙は致命的なものになりかねません。また可変機構に場所をとられ推進剤の減少を招くのではありませんか?」
「では卿は代案をお持ちでとおっしゃるのですな?」
「ええ・・・・・・・・尾崎君説明をお願いします。」
「月守さん・・・ファイル7Gを読み出してください。」
「了解ですぅ」
聯盟側の機体は葵の乗る先行試作型”麗風”をさらに発展させた2対の翼を持つ機動兵器であった
どことなく女性を連想させるその機体は純白の装甲版と細身の機体は目立たないよう各所にスラスターが配され高い機動性を併せ持っていることを想像させた。
「この機体は”麗風”選定にあたり競合機として開発されその高過ぎる能力ゆえに”先行試作型麗風”として2機だけ製作された”飛龍”の発展機・・・・その名も”舞姫”です、この機体の特徴は簡易ながら重力制御システムを搭載し各所に配されたスラスターを併用することにより従来機では考えられないほどの機動性と航続力を持たせることに成功した点です。」
「しかし、これほどの機体だとそれこそ運用に問題が生じるのではないかね??」
メッサーシュミット博士の質問に菊原技師が答えた
「それに関してはエンジェリックフリート専用機として開発する分には問題ありません、先ほどハインケル博士がおっしゃったとおりここは撃墜王の溜まり場(エースクラブ)みたいなものですから。」
「機体整備に関しましても技術陣のレベルも申し分ないですわ、現行機でさえ常に95%以上の稼働率を維持しておりますもの」
詩織の発言に博士たちは感嘆のため息を漏らした。
「現行機で95%以上の稼働率とは何とすばらしい!!」
ちなみに稼働率とは機体運用時に即時利用可能な機体の数のことを指す、この数字が低いほど一度の戦闘で投入できる機体数が減少するので戦闘時においてこの稼働率は用兵側の死活問題であった。そしてほかの基地における現行機の稼働率は65%前後が普通とされていた。
「ではどちらの機体がよいか投票したく思います。”バタン!”ZEEKさん・・会議中ですよ?」
「司令!それどころではありません!!」「・・・・・・・・・・・・緊急事態なのですね?」
「はい!帝国側L3コロニー群に黒色艦隊襲来!至急応援を請うとの事です!」
「皆様、会議途中ですがこれで失礼させていただきます、皆様は引き続き各装備に対して活発な意見を交わされ実り多き会議になるよう説に願っております。」
そういうと奈々は立ち上がり敬礼をするとZEEKを伴い退室した。参加者全員がそれに対し起立敬礼で見送った。
「お爺様...わたくしもいってまいります」
「詩織.....気をつけてな」「心得ておりますわ」
詩織も祖父・平賀博士に別れを告げ退席する。

<廊下>
「お嬢様..........」
廊下に出た奈々に遠慮がちにZEEKは話しかけようとするが奈々に制されてしまう。
「ZEEKさんの言おうとしていることはわかってるつもりです。私は軍人にあるまじき夢を追おうとしているのかもしれません。しかし軍人が平和な世の中で朽ちていく世界..........それが一人一人に幸せをもたらすのではないのでしょうか?」
「ではその平和の中であえて剣を持つ我々は絶対悪ではならねばなりませんな、ですが彼ら(黒色艦隊)は果たして悪なのでしょうか?」
「どちらともいえません絶対悪などというものが存在しないのは歴史が証明しています・・彼らにも彼らなりの正義というものが存在するのでしょうし、それは彼らにとって譲れないものなのでしょうから。」
「では往くしかありませんな......ひとときの争い無き未来のために。」
妙に芝居がかったZEEKの物言いに奈々はクスッと笑うとこう言い放った。
「そうですね往きましょう、私達の世界を勝ち取るために。」

再び戦乱のときが訪れようとしている・・・・・・・奈々は不安を押し隠すようにただ作戦司令室に向かうのだった。




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あとがき
ZEEK :四拾参話です
茉莉慧  :えっとウィングゼロとゼロカスタムの違いでしょうか(^^;;
葵     :エンドレスワルツで宇宙に羽ばたくゼロカスタムを見て少佐もそんな描写がしたくなったから出したらしいわ
詩織    :でも舞姫は公人さんには向かないですわね・・・フォルムが女性的で
ZEEK :まぁ公人君は皇国軍だからね・・・ノイエ大佐が微妙な線だけど・・・・
詩織   :それにしても時間がかかりましたわね
ZEEK :あの・・その・・・コミケと仕事が忙しくて(汗)
葵    :逃げね.....
詩織   :逃げですわ.....
茉莉慧  :逃げですね(^^;;
ZEEK :チッ 次回からどうなることやら
茉莉慧  :ついでにごまかしてるし.........
ZEEK :ってことで次回もやってやるぜ!!!(シュタッ)
葵    :それはそうと作者は感想に飢えてるらしいわ.....できたら”読んだよ”だけでも言ってあげると助かるわ
茉莉慧 :御意見御感想をお待ちしてます♪









続く?