<大和第1艦橋>
「告げる・・・こちら艦長、今回の防衛出撃は本艦初の帝国側への防衛出動である、諸君らの中には未だ帝国に対するわがかまりが有るものも居ると思う、しかし平和は何にも増して代え難い、先年の飛鳥反乱の折にクレリア皇女殿下、並びに配下の艦艇が助勢してくれた恩義もある。諸君らが取り乱す事の無きよう、そして諸君ら一人一人が平和を守る防人(さきもり)としての誇りを胸に任務に精励して欲しい...以上だ」
出航前のひと時、すでに恒例と化しているZEEKの訓示に乗員は気を一層引き締めて作戦準備に掛かっていた。
程なく全ての準備が整ったとの知らせがZEEKに届くとZEEKはノイエに対し敬礼を行いつつ報告をした。
「艦隊司令!出向準備・・・整いました。全て問題ありません。」
「よろしい全艦抜錨!第1分艦隊出撃!」「了解、全艦抜錨!微速前進0.1!」「ヨーソロー微速前進0.1」
ノイエの指令を受けたZEEK指示に恋が復唱すると大和はゆっくりと岩戸要塞の軍港の出口に向かい進んでゆく。
軍港を出た大和は発光信号で全艦に隊列を指示すると全ての艦艇はまるでひとつの生き物であるかのごときスムーズさで隊列を組みなおし速度を上げた。
「後方岩戸要塞より護衛艦載機隊の出撃を確認。」楠葉の報告により艦隊に傘がかかった。
「こちら装甲空母”龍鳳”艦載機隊隊長 笹井翔子大尉です、要塞警戒宙域外までエスコ−トします。」
「こちら艦隊司令のフォン・ノイエだ・・・護衛を感謝する」
こうして大和を旗艦とするエンジェリックフリート、帝国防衛出撃分艦隊は何事も無く出撃をしたのだった。





















少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第四拾五話 ”黒龍隊”

<大和第1艦橋>
半日後、艦隊は黄泉回廊の出口に差し掛かっていた。
「電探に機影!数50!」
楠葉の報告にZEEKはニヤリと笑うとノイエに語りかけた。
「旧飛鳥防空隊の精鋭と考えてよいと思われます。」
「そうか.....増援艦載機隊は本艦で収容する事にする。準備急げ。」
「艦載機隊より入電」
「こちらイグナス監視基地所属ブラックドラグライナーズ、隊長の桜小路だ、着艦許可を望む」
茉莉慧はZEEKがうなずくのを確認すると指示を出した。
「こちら装甲母艦大和、管制コントロール、着艦を許可します、順次着艦をして下さい。」
「了解」
『着艦燈点灯開始、エアロックの減圧と空気の排除完了。受け入れ態勢オールグリーン。』
「舵固定を確認」
艦橋にミコの事務的な報告が届く。
「一番機、先行量産型麗風を確認、着艦体制に入ります。」
1番機は目の覚めるような鮮やかさで着艦を果たしていた。、ほかの機もまさに教本書に載せる事ができるほどな見事さで順次着艦をし、通常の1/3以下の時間で全機の着艦を果たし終えていた。

<大和第一格納庫>
格納庫で公人を待っていたのはZEEKと・・・そして葵であった。
「ご苦労様であります!大佐殿!」
威勢のいい敬礼と共に放たれたZEEKの第一声に公人はおもいっきりずっこけた。
「やめてくれ・・・ZEEK..おまえにそんな事を言われると気持ちが悪い。」
「はは・・・まぁ感動のご対面は後においておいて通過儀礼をやるか...。」
「そうだな」
悪びれるでもなくZEEKが返すと公人はまじめな顔になり。
「飛鳥皇国黄泉方面軍所属、イグナス監視基地護衛大隊々長 桜小路公人大佐です。乗艦許可を?」
「ご苦労様です、飛鳥皇国黄泉方面軍本部所属平和維持艦隊エンジェリックフリート供出部隊参謀長ZEEK中佐です、乗艦を許可します。」
そしてお互いに敬礼をかわす敬礼をし終わった二人は砕けた表情で握手をした。
「久しぶりだな...桜小路。元気そうで何よりだ」
「おまえもな・・・ZEEKこのあいだはすまなかった。」
そこまで言うとZEEKは意味深にニヤリと笑うと
「言う相手が違うんじゃないのか?..なぁ近衛君?」
突然に振られた葵は一瞬きょとんとすると....笑顔で答えた。
「ZEEK先輩...そういう唐突なの悪趣味です...いいかげんやめませんか?」
「まぁそういうな.....婚約者同士好きなだけ夫婦喧嘩でもなんでもやってくれ...どうせ任務中はいつもいっしょなんだ。」
一人蚊帳の外の公人は頭にいくつも?を浮かべながら会話に割り込んだ。
「ZEEKどういうことだ?」
こういうことだよ..と、ZEEKがパチンと指を鳴らすと公人の前に3Dモニターが展開される。
展開が終わった時そこに映っていたのは奈々であった。
『飛鳥皇国黄泉方面軍司令兼エンジェリックフリート総司令の霧島奈々です。桜小路公人大佐は本作戦中、同方面軍航宙甲参謀 近衛少佐指揮下に入るように。桜小路大佐は現在謹慎がいまだ解かれぬ身ですので近衛少佐の保護観察下に入っていただきます..........という建前ですから守ってくださいね?桜小路君?』
録画命令書の再生が終わったとき公人は噴出していた。
「ぷっ....あ...あははははははは..霧島教官にはかなわないな。...あお..じゃなかった近衛少佐!よろしくお願いします」
ひとしきり笑い終えると公人は葵に敬礼すると指揮下に入る事を了承した。
「ちょっ....よしなさいよ公人、あなたは大丈夫でも部下は大丈夫なの?」
「それも心配無用です」
「悠華......」
葵が振り返ると悠華をはじめ見知った連中が立っていた。
「今回引き連れてきたのは最古参の連中ですよ貴女が副長をしてたころからのね?」
「そのようね.......久しぶりね?みんな....しぶとく生き残ってるじゃない?」
懐かしい顔ぶれに葵の顔から微笑みがこぼれる。
「ふくちょ・・・いや近衛少佐殿が寿退官するのを見届けるまでは死ねませんぜ。」
大柄な男が軽口をたたくと葵は悪戯っぽく微笑むと。
「あら?西澤飛曹長...それじゃ絶対に死ねないわね?私、結婚しても軍を辞めるつもり・・・無いわよ?」
「がはははは.......そいつは一本とられやした」
「岩本少尉、黒岩一空曹、虎熊一空曹、赤松飛曹長、杉田少尉、太田飛曹長、谷水上飛曹、本田三飛曹.......それに坂井少尉まで......みんな本当にしぶとく生き残ってたのね。」
全員が一斉に葵に敬礼を送る、葵も返礼をすると惚れ惚れするような笑顔で迎えた。
「ようこそ!大和へ.......貴官らを歓迎するわ。」




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あとがき
ZEEK :四拾五話です
茉莉慧  :満を侍しての公人兄さん登場ですね(^^
葵    :でも........なによ黒龍隊の古参メンバー...とんでもない面子ばかりじゃない(^^;;
詩織   :私は出番がありませんでしたわ(^^;;;
ZEEK :今回はいつもは省略している出航プロセスを入れてみました
詩織   :.ページ稼ぎに見えますわ
ZEEK :うっ....(汗)
三人娘  :..........................
ZEEK :ってことで次回もやってやるぜ!!!(シュタッ)
葵    :それはそうと作者は感想に飢えてるらしいわ.....できたら”読んだよ”だけでも言ってあげると助かるわ
茉莉慧 :御意見御感想をお待ちしてます♪









続く?