<麗風・近衛隊長機:コックピット>
『大和艦載機隊,全機発艦完了!』『ラグナロク艦載機隊,全機発艦完了!』
装甲母艦大和、そして機動要塞艦ラグナロク、あわせて300機と言う強大な艦載機戦力の全てが発艦するのに要した時間は、なんと30分..........精鋭ならでわのスピードと言えるだろう。
余談であるが、大和艦載機の定数は128機、ラグナロク艦載機の定数は256機である、しかしながら現在、両艦共定数を満たしては居ない。
それでも、2隻で1個機動艦隊を上回る数の艦載機を有しているのは、驚愕に値するであろう。
通常、1個機動艦隊は、2〜6隻の空母を有する艦載機主体の艦隊をさし、1隻の定数はせいぜい100機前後である。
300機という搭載機数は、帝国の装甲空母”グラーフツェッペリン”級5隻分の戦力に相当する。
しかしながら、航続力とペイロード関係で、この時代艦載機兵力はあまり重要視されていない、戦場が広くなりすぎ、補給と継戦維持能力に不安があるからである、この広大な宇宙と言う戦場を得て,人類は再び大艦巨砲主義の時代が訪れていた。
現在の艦載機に期待された能力....それは艦隊や根拠地の防空を目的とした局地戦力や根拠地を急襲する機動力であった。
つまり今回のように艦載機戦力で敵艦隊を叩くのはどちらかと言うと邪道と言えるだろう。

「ブルーリーダーから各機へ、各中隊毎の集団に分かれ作戦通り敵艦を叩きなさい。敵艦隊にはどういうわけか駆逐艦の随伴が無いわ、どんな罠が待ち受けてるか解らないから、十分注意して襲撃にあたりなさい!・・・・・それでは作戦開始!!GO!」
『『『『了解!!』』』』
葵の指示の元、艦載機の群れは7つの群がりになり敵艦隊を殲滅すべく襲い掛かろうとしていた。






















少女艦隊戦記
エンジェリック・フリート
第五拾弐話 ”逆撃(前編)” 



<大和:第一艦橋>
「全艦載機の発艦を確認」
楠香の報告を聞いたZeekはすかさず次の命令を下す。
「よし、結城君、全艦砲雷撃戦用意!」
「宜候、全艦砲雷撃戦用意!」
緊張が続く艦橋内であったが次のZeekの命令で動揺が走る。
「甘木君、最大戦速、距離2万でとりかじだ!」
「とりかじ..ですか?」「「同航砲戦.........そんな.....敵の方が砲門数が多いんですよ!艦長!正気ですか?」」
恋は驚き、ZEEKの意図に気が付いた美瑠と茉莉慧は抗議をの声をあげる。
こちらは46cm砲艦である大和と56cm砲艦であるラグナロクである。
最大でも43cm砲艦であるはずの敵艦隊がこちらのバイタルパートを貫く事は出来はしないだろう。
しかし敵艦の数はこちらの5倍....10隻を相手にがっぷり4つに組んで殴りあいをするのには不利過ぎる。
「私に策がある。今は命令に従いたまえ。」
「よっ宜候、と〜りか〜じ」
強い口調で命令を実行するZeekに恋は思わず復唱し振り返る......そこには不適なまでな笑みがあった。
「桜小路君、敵艦隊の....特に艦載機の動きに注意したまえ」
「りょ・・了解!」


<麗風・近衛隊長機:コックピット>
進撃を続ける艦載機編隊の中央で葵は言い知れぬ不安に陥っていた。
「敵艦隊まであと.....60宇宙キロか....さて....敵さんはどう出てくるかしらね?」
『統括隊長さんが情けない物言いですね?』
思わず声に出してしまった葵のつぶやきを悠華が咎める。
「言わないでよ....悠華...でも」
『でも?』
「いつも思うことだけど、敵さん一体何処にあんなたくさんの機体をしまってるのかしら。」
『そうですね〜どう考えても搭載制限オーバーの数の機体が出て来ますね先輩』
『そ.....そうなのですか?』
葵の嫌そうな言い様に飛鈴まで同意する。....無論それを聞いた悠華も
「ありえない物量で押されるのよね......しかも相手は無人機.....数で押されたら厄介よ?」
『でも、統括隊長!敵機は毎回撃退出来てますよ?』
『そうですよ...それに今回は大部隊で押すんです!何も恐れる必要はないと思うんですが....』
いつの間にか美都里や綾まで回線に入ってきた。
「でも大規模な艦載機部隊は厄介よ?特に今回は艦隊攻撃も兼ねてるんだから気を引き締めていきなさい!」
『『『『了解!!』』』』

<ワルキューレ・ラミル少佐機:コックピット>
ラミル少佐は回線に流れてくるこのおチャラけた雰囲気に呆れていた。
(これが我が騎士団と対等以上に渡り合ってきた連中だと言うの?....認めないわ...こんなおチャラけた連中に遅れを取るなんてあってはならない)
「......そう!あってはならない!」
ラミルの葛藤はいつしか口に出ていた。
「ホフマン!エーリッヒ!いいわね?団長がいないからって聯盟の奴らに遅れを取るような事があってはならないわ!」
『『Ja vohl!』』
「よろしい!では進撃速度を上げなさい!」
部下達の反応にラミルは満足した...よし!これならいける....蒼き稲妻に我が騎士団が団長不在でもその精強さに曇りなど無い事を見せ付けてやる事が出来る・・と
しかし、ラミルはそれが焦りである事に気が付く事は無かった。

<疾風・月守大尉機:コックピット>
「”銀の剣”殿は一体何を焦っているのでしょう....。」
急遽猪突を始めた銀の騎士団に部隊の進撃速度を上げざる終えなかった。
「坂井さん、岩本さん......速度(アシ)を速めましょう。...このままでは襲撃タイミングが.....ずれてしまいます。」
『副長.....手遅れです』
坂井少尉の報告を聞いた悠華は前方を注視した........なるほど、敵艦隊から艦載機部隊が雲霞の如く出撃してくるではないか。
悠華は軽い目眩とともに軽いため息をついた....本当に飛鈴の言うとおりですね。

<麗風・近衛隊長機:コックピット>
「いい事!私の可愛い貴方達!敵は所詮は無人機よ..囲まれないように注意するのよ!敵艦への攻撃は折を見てでかまわないわ!まずは自分の身を護りなさい!」
『お嬢!俺達は心配いりませんぜ.....ですが、あちら(帝国軍)さん達はもう囲まれ始めてるみたいですぜ』
なるほど岩本少尉の言う通り突出してしまった帝国軍が次第に包囲され始めた。
「仕方ないか.....悠華」
ため息をついた葵は、気を取り直すと悠華に通信を入れた。
『解ってますわ、隊長の変わりに私が援護すればいいんでしょ?』
「さっすが♪...話せるわ♪.....囲まれきる前に救い出すわよ!」
『宜候』
悠華の返事を待って機を進め始めたその時、葵は猛烈な悪寒に襲われた。
(なんなの?.....ん?敵艦の主砲が指向している....大和までの距離はまだ砲戦距離じゃないわ....だとしたら...まさか!!)
「全機散会!!!!!急いで!!!敵艦隊からバラけて遠ざかりなさい!!!!退避!!!!」
葵が退避を命じたのと敵艦隊が発砲したのはほぼ同時であった。

敵艦隊の主砲から放たれた砲弾は艦載機隊を目の前にして......巨大な花火の如く広がった。
その圧倒的な暴力の前に非力な艦載機はただなすすべも無くなぎ倒されていく。
「徹甲榴散弾.........そんな...... 散式弾がなぜ.........」
かろうじて安全圏に逃れる事の出来た葵は...その惨状にただ慟哭するしかなかった。



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あとがき
ZEEK  :五拾弐話です
葵    :あら....思ったより早かったわね
ZEEK  :あの.....その......
詩織   :今回は色々急かされたみたいですわ♪
茉莉慧 :にしても.......続きものですか
葵    :......いつもながら卑怯ね
ZEEK :....................................すまん
葵    :次回は早めに更新する事ね
ZEEK :くっ........次回もやってやるぜ!!!(シュタッ)
葵    :それはそうと作者は感想に飢えてるらしいわ.....できたら”読んだよ”だけでも言ってあげると助かるわ
茉莉慧 :御意見御感想をお待ちしてます♪









続く?